古代遊牧民による「謎の流血儀式」の正体 暴力で25%が死亡か(シベリア)

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Credit:Tunnug 1 Research Project
reference: archaeologynews

これまで1700年前の西暦紀元初期に存在していたシベリア古代遊牧民については、その考古学的なデータがあまり存在していませんでした。

しかし、9月16日「American Journal of Bodily Anthropology」誌に掲載されたスイス・ベルン大学医学研究所・物理人類学部の人類学者マルコ・ミレラ博士らの研究によって、遊牧民の残虐な一面が新たに発見されました。

墓地から発見された骨格遺体には暴力や襲撃の痕跡が残っており、さらには謎の流血儀式が行われていたかもしれないのです。

南シベリアの古代遊牧民の墓地から暴力の痕跡が発掘される

歴史家たちは、シベリアの古代遊牧民を戦争と略奪を生業とする暴力的な人々だと表現してきました。

しかし西暦紀元初期に存在した彼らの暴力に関する考古学的資料は発見されておらず、不明な部分が多かったようです。

そのため研究チームは、南シベリアのトゥバ共和国の地を発掘することにしました。

Tunnug 1
Tunnug 1 / (写真下部)Tunnug1/Credit:Gino Caspari

この地域にはいくつかの発掘ポイントがありますが、今回の焦点となったのは写真上の古墳「Tunnug1」です。ここはシベリア・スキタイ人最古の王家の墓の1つであり、2017年から発掘が行われていました。

そして最近の調査で、ここから87人の骨格を含む西暦2~4世紀の周辺墓地を発見。

Tunnug1
Tunnug1 / Credit:Marco Milella

それら遺体には歴史家たちの予想どおり、様々な暴力の痕跡があったのです。

シベリアの古代遊牧民は流血の儀式を行なっていた

研究チームが骨に刻まれた外傷を分析したところ、遊牧民の25%が対人暴力によって死亡していたと判明。

これらは主に戦争や襲撃による直接的な戦闘に関連しており、しばしば断頭の痕跡も見られます。

頭蓋骨の矢尻痕跡
頭蓋骨の矢尻痕跡 / 女性の頭蓋骨にある矢尻の痕跡/Credit:Marco Milella

この暴力の対象となったのは主に男性でしたが、女性や子供も多く含まれていました。

さらに遺体の中には喉を切り裂いたり、頭の皮を剥いだりした痕跡が発見されています。

ミレラ氏によると、「このことは彼らの暴力が、襲撃や戦闘だけでなく、謎に包まれた儀式によるものであったことを示します。そしてこの儀式は殺害や戦利品の収集の際に行われた可能性が高いようです」とのこと。

下顎骨の刃傷痕
下顎骨の刃傷痕 / 子供の下顎骨にある刃傷痕跡/Credit:Marco Milella

このように古墳「Tunnug1」から得られる情報は、埋葬された人々が酷い暴力を経験したことや、未知の儀式が存在していたことを明らかにしました。これは当時の南シベリア全域の政治的な不安定性が関係していた可能性もあるでしょう。

またチームは既に、この研究に関連したDNA研究を完了しており、今後、古代遊牧民の食事や移動性、遺伝的関係を再構築する予定です。

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