土星の月エンケラドゥスの北半球に「新鮮な氷」があると判明。地質学的な活動が続いている可能性あり

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エンケラドゥスの赤外線画像。赤い部分が堆積した新しい氷。/Credits: NASA/JPL-Caltech/University of Arizona/LPG/CNRS/University of Nantes/Space Science Institute

reference: NASA,sciencealert

土星の第2衛星エンケラドゥスは太陽系の中で、地球以外で生命が存在する可能性のある有力候補のひとつです。

エンケラドゥスは宇宙に浮かぶ雪玉のように、全体が氷で覆われています。

この氷は調査の結果、南極地域ではかなり新しいことがわかっていて、エンケラドゥスは地下に巨大な液体の海を持つこと、また熱的な地質活動を続けていることなどが示唆されていました。

そして今回、科学雑誌『Icarus』に発表された研究では、探査機カッシーニの赤外線画像データを元に、エンケラドゥスの北半球にも新鮮な氷で覆われた領域があると報告しているのです。

これはこの衛星の北半球にも熱水噴出孔が存在する可能性を示しており、ますますこの衛星の生命の可能性を高めるものとなっています。

氷に包まれた月の熱い地下

土星の衛星エンケラドゥスの内部想像図。
エンケラドゥスの内部想像図。/Credit:Wkipedia

エンケラドゥスの南極地域の地下には、以前記事にもしたようにタイガーストライプと呼ばれる巨大な4つの平行な裂け目があるとわかっています。

ここから100を超える間欠泉が、探査機カッシーニの調査から発見されていて、そこから塩水が噴出しエンケラドゥスの表面に新しい氷を生み出し、さらに水蒸気を宇宙に飛ばしていました。

このような氷の月エンケラドゥスの内部に地熱活動が存在する理由は、土星と月の潮汐力によるものだと考えられています。重力の力がエンケラドゥスを引っ張って伸ばし、内部を加熱させているのです。

このため、エンケラドゥスの南極地下は加熱された状態で、さらに液体の水を溜め込んだ海まで存在していると考えられていました。

しかし、それは南極地域だけに限らなかったようです。

カッシーニが13年間に渡って調査したデータを解析した結果、エンケラドゥスには地球規模の内部活動が行われている可能性が示唆されたのです。

カッシーニが明らかにしたエンケラドゥスの詳細赤外線画像

これはカッシーニのデータを元に作成されたエンケラドゥス全体の赤外線画像です。

氷に覆われ真っ白に輝いているエンケラドゥスですが、赤外線画像では、赤く光る領域が確認できます。

赤い領域は新鮮な氷に覆われている部分です。

そのような事がわかるのは、氷の構造にあります。通常宇宙で見つかる氷はアモルファス氷と呼ばれる急速に冷凍されたために、結晶化していないガラス状の氷です。

宇宙は極端に低温である場合が多いため、こうした非結晶の氷が作られます。

しかし、比較的暖かい水が凍った場合、それは結晶構造を作り出します。これらは赤外線で見た場合、異なる反射します。

つまり、氷を赤外線で見れば、その氷がどのような熱を受けて形成されたかという履歴までわかってしまうのです。

上の画像はNASAで公開されている3D画像で、ぐりぐり動かして見ることができます。

すると南極地域には先ほど説明したタイガーストライプに沿って、真っ赤な領域があることが確認できます。これはこの部分の氷が高い熱を受けて生まれた新鮮な氷であることを示しているのです。

そして、北半球に目を向けてみると、そこにもほんのりと赤みを帯びた領域があるのがわかると思います。

これまで南半球だけに内部活動や新鮮な氷があるのだと考えられていたエンケラドゥスでしたが、北半球でも同じような活動が確認できたのです。

地質学的には今も若いエンケラドゥス

こうした活動は地球の海底の熱噴出孔によく似たものだと考えられています。

こうしたホットスポットの寿命はたいてい数百万年しかありません。そのため、赤外線画像で赤く見える地域の地質は若いものだと考えられるのです。

北半球に見られる広い赤みを帯びた地域は、地質学的な活動がそれほど昔のことではないことを示しています。

熱水噴出孔は地球でも微生物などの誕生場所として有益な場所です。

カッシーニは2017年に燃料を使い果たし13年以上に及ぶ土星とその衛星の観測任務を終了しましたが、彼のもたらした情報は、エンケラドゥスに生命が存在する高い可能性を示しています。

いずれこの遠く離れた土星の月からも生命の痕跡が発見できるかもしれません。

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