多くの人々が混乱した「モンティ・ホール問題」直感に逆らう確率問題の原因は?

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3つのお年玉袋でモンティ・ホール問題を考える。
3つのお年玉袋でモンティ・ホール問題を考える。 / Credit:cn.sz-search
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「今年はお年玉袋を3つ用意したよ。1つには1万円、あとの2つには千円が入れてある。当たったらあげるから、1つ選んでごらん」

「それでいいの?」

「じゃあ残りの2つのうちハズレの袋1つをどかそう

「アタリは君が選んでいる袋か、残った袋のうちのどっちかだけど、今ならお年玉袋を変更してもいいよ」

もし、子供時代にこんな意地悪な叔父さんがいたら、貴方はどう答えたでしょうか。

最初の直感を信じて変更せずに勝負しますか、それとも残った方に変更しますか?

実はこの場合、最初に選ばなかった方へ変更したほうが当たる確率が高くなります。これは多くの人が混乱する確率の有名な問題で「モンティ・ホール問題」と呼ばれています。

いくら説明されてもどうしても納得できない人も多いというこの問題。一体どういうからくりがあるのでしょうか。

テレビ番組から生まれた数学問題

ゲームショー「Let's Make a Deal」
ゲームショー「Let's Make a Deal」 / Credit:thiswastv

モンティ・ホール問題は1963年からアメリアで放送されていたゲームショー「Let’s Make a Deal」の1コーナーが発端で生まれた有名な確率問題です。

モンティ・ホールはこの番組で30年近く司会を勤めた人物の名で、学者の名前ではありません。

日本で言えばタモリ問題とか呼んでいる感覚でしょうか。

この番組の中で、モンティ・ホールは参加プレイヤーに3つの扉のうち1つを選ばせるというゲームを行いました

1つが当たりの扉で、その向こうには商品の自動車があります。残りの2つの扉はハズレでヤギがいます。

最初に語った封筒の例題と同じ流れで、モンティ氏はプレイヤーが選ばなかった扉から、ハズレの扉を開き、「選び直してもいいですよ?」と相手を揺さぶるような提案をします

この場合、プレイヤーはどうするのが最善の選択なのでしょう?

ほとんどの人は、「ここで扉を選び直しても、そのまま選択を保持しても確率は2分の1で変わらないでしょ?」 と考えました。

しかし、アメリカの雑誌コラムで、とある人物がこの場合の正解は「ドアを変更することだ」と掲載したのです。これは、全米を巻き込む騒動となりました。

「そんなわけねーだろ」と、このコラムに反発した人物の中には、プロの数学者も含まれていました。

なぜこのゲームでは、途中で選択を変更するほうが正解確率が上がるのでしょう?

最初の選択と途中変更では選択している扉の数が違う

この問題で見落としてはならない重要な点は、これがモンティ氏の仕掛ける心理作戦ではないということです。

もし、正解を知っているモンティ氏が最初にプレイヤーの選んだ扉によって、ハズレの扉を開いて選択変更を提案するかどうか選べるなら、これはモンティがプレイヤーを揺さぶるための作戦になり、容易に答えの出ない問題になるでしょう。

しかし、このゲームではモンティ氏は必ず最初の選択後、残った扉からハズレを1つ間引きして、プレイヤーに選択変更の機会を提案するルールになっています。

この条件を踏まえた上で考えると、このゲームは次のような状況になります。

モンティ・ホール問題の3つの扉 最初の選択
モンティ・ホール問題の3つの扉 最初の選択 / Credit:いらすとや,ナゾロジー編集部

モンティは選ばなかった扉のうちハズレの方を開いてもう一度選び直してもいいと提案します。それはつまり次のような状況です。

モンティ・ホール問題の3つの扉 2度目の選択
モンティ・ホール問題の3つの扉 2度目の選択 / Credit:いらすとや,ナゾロジー編集部

この状況を見るとわかると思いますが、ハズレの扉を明かした上で選択を変更するということは、1度のゲームで2枚の扉を選んでいることに等しいのです。

しかし、多くの人は直感的にこの状況を次のように勘違いして、確率は2分の1だと考えてしまいます。

勘違いされたモンティ・ホール問題の状況
勘違いされたモンティ・ホール問題の状況 / Credit:いらすとや,ナゾロジー編集部

もし最初に扉を選択せずにモンティ氏がハズレの扉を明かしたとしたら、上のイラストのような2択状況になり扉の正解確率は2分の1になります。

しかし、最初に1つ扉を選んでいるというのがミソになります。

どちらでも同じことでしょ? と思ってしまう人はモンティ氏がプレイヤーの選んだ扉を除外してハズレの扉を開いていることに注意しましょう

それがこの問題のいちばん重要な点です。残された扉は常に2つ1組のセットになっているのです。

直感に逆らう確率問題は単に条件をよく見ていないだけ

これは言われてみれば当たり前、という簡単な話です。難しい確率計算の数式さえ登場する必要はありません。

直感に逆らった問題と言われるものの多くは、このように人間が思い込みで問題の条件を取り違えていることから発生している場合があります。

例えば、似たような直感に逆らう有名な確率問題に「誕生日のパラドックス」というものがあります。

「誕生日が同じというペアが存在する確率は、何人以上のクラスなら50%を超えるでしょう?」というのがその問題です。

1クラスに何人の生徒が集まれば、同じ誕生日のペアが50%以上の確率で生まれるでしょう?
1クラスに何人の生徒が集まれば、同じ誕生日のペアが50%以上の確率で生まれるでしょう? / Credit:depositphotos

この問題の正解は23人です。学校の1クラスの人数はだいたい30~35人くらいなので、かなり高い確率で誕生日が同じというペアがいることになります。

これはなんだか思っていたより高い確率だ、と感じる人が多いでしょう。

しかし、この問題はクラスで365の数字の中から無作為に数字を生徒が順々に選んでいったとき、何人目で同じ数字を選んでしまう人が出るでしょう? と聞いているのと同じです。

この場合、23人目まで順番が回ってくれば50%の確率で被った数字が選ばれるというのは、それほど不思議な話ではないと思います。

この問題についても、直感に逆らうと言われる理由は問題条件の勘違いに原因があります。

多くの人は誕生日が一緒なんて人に出会うとちょっと運命的なものを感じてしまいます。

そういう感覚を引きずっているために、相当確率は低いだろうと考えてしまうのです。

「何月何日でもいいからクラスに誕生日が同じ人が2人いる確率」と、「自分の誕生日と同じ誕生日の人がクラスにいる確率」を混同してしまっているのです。

例えば、自分と誕生日が同じ人が23人のクラスにいる確率を計算してみましょう。答えは約6%です。

この答えはおそらく直感にかなり近いのではないでしょうか?

直感と違う! となってしまう問題の多くは、単に思い込みで問題内容をよく確認せずに考えるから起きてしまうのです。確率問題にかかわらず、そんなことは意外と身近に多いのかもしれません。

ちなみにモンティ・ホール問題は、ここのサイトで体験することができます。選択を変えた場合と変えない場合、どちらのほうが当たるでしょうか?

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