カラスは「自分」を理解している
研究チームは、訓練した2羽のカラス、オジーとグレンを対象に、意識的な知覚体験の有無を調べました。
オジーとグレンは、スクリーン上に表示される刺激(数字や色)に対し、首を振ることで合図します。一連の実験の結果、2羽ともにそれぞれの視覚刺激に対し正確に反応し、スクリーンに何も現れないときは首を振りませんでした。
オジーとグレンは、刺激がある場合とない場合を正確に見極めていたのです。

同時に研究チームは、2羽が視覚刺激に反応している間、脳内の神経細胞の活動を記録しています。
すると、オジーとグレンが「刺激を見た」と報告したとき、神経細胞は「刺激の表示から行動反応(首振り)」の間で活性化を示しました。もちろん、刺激を知覚していなければ、神経細胞は活性化していません。
ニーダー教授は「これはカラスの神経細胞が意識的な知覚に影響されていることを実証しており、より正確には、カラスの中に主観的意識が生まれていると言えるでしょう」と述べました。
つまり、カラスは、明瞭に「自分」の存在を理解したうえで、周りの世界を認識しているのです。