遺伝的危険因子の分布が判明!その起源と正しい見方は?
そして新しくゼバーグ氏らの研究によって、その遺伝的危険因子をもつ人々の分布が明らかになりました。
この遺伝子はバングラデッシュで最も一般的にみられ、人口の63%に該当するとのこと。
またより広い範囲でみると、南アジアの人々の50%、ヨーロッパの人々の16%がこの遺伝子を受け継いでいます。
ちなみに日本を含む東アジア人にはほとんど受け継がれていないようです。
さらにゼバーグ氏らはこの分布から、新型コロナウイルス重症化の遺伝的危険因子はネアンデルタール人から受け継がれたものだと主張。
論文の共著者である沖縄科学技術大学院大学のスバンテ・ペーボ氏は、「この遺伝子は今日存在しない他の感染症からネアンデルタール人を保護した可能性があります。しかし現在、新型コロナウイルスに対しては悲惨な結果をもたらしているのです」と述べています。
このように遺伝的危険因子の影響は確かに存在しますが、それでも重症化の要因の一部にすぎません。
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのマーク・マスリン教授は、パンデミックの原因と影響を単純化しすぎることへのリスクを警告しています。
彼によると「新型コロナウイルスは複雑な病気であり、その重症度はとりわけ年齢、性別、民族性、肥満、健康、ウイルス量に関連しています」とのこと。
実際、遺伝的危険因子を持たない地域でも新型コロナウイルスは爆発的に広まっており、重症化する人々もいます。自分が遺伝的危険因子を持っていないとしても、これまで通りの感染対策は必要でしょう。