サッチャー錯視の例。
サッチャー錯視の例。 / Credit:thatchereffect.com
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逆さにすると顔のパーツを正しく認識できなくなる「サッチャー錯視」の不思議

2021.01.27 Wednesday

2020.10.04 Sunday

上の女性の写真は、左の逆さまの顔は見ていてもさほど違和感を感じませんが、右の正立に直すととたんにひどい表情に見えてしまいます。

実はこの画像、目や口といった顔パーツを逆さまに加工して貼ってあるのです。

こんなに異様な形相なのに、なぜ顔を逆さまにしただけでそのことがわからなくなってしまうのでしょう?

産総研 https://www.aist.go.jp/aist_j/new_research/2014/nr20141010/nr20141010.html , thatchereffect.com http://thatchereffect.com/#

顔パーツを正しく認識できない「サッチャー錯視」

画像
Credit:thatchereffect.com

上の画像のモデルさんの本来の顔は、このようなきれいな女性です。

しかし、顔のパーツを逆さにするだけで変な顔、というよりもはやグロテスクな表情になってしまいます。

しかし、画像を逆さにした場合、私たちはそのことに気づけません。

これはサッチャー錯視(英: Thatcher illlusion)と呼ばれています

この呼称は英国首相のマーガレット・サッチャーが由来で、彼女の写真を使ったときにこの錯視が顕著に確認できたことにちなんでいます。

サッチャー錯視は「顔認識の倒立効果」という心理学的現象としても知られていて、私たちが顔を上下反転して見ると、顔のパーツを正しく認識できていないことを示しています

他にもサッチャー錯視の例をいくつか見てみましょう。

有名人のサッチャー錯視。左からケイト・ミドルトン、オバマ大統領、ジャスティン・ビーバー。
有名人のサッチャー錯視。左からケイト・ミドルトン、オバマ大統領、ジャスティン・ビーバー。 / Credit:thatchereffect.com

これらの写真は、見てもそれほど違和感はないと思います。しかし、この写真はどれも口や目が逆さまに加工されています。

これを正立に直すと……

目と口を逆さに加工した画像。
目と口を逆さに加工した画像。 / Credit:thatchereffect.com

あっと驚くほど極端に印章は変わり、違和感だらけになってしまいます。正直ここまで変な顔になっていたとは、逆さの段階では気づけないでしょう。

なぜ、こんなことが起きるのか? その秘密は私たちのの認識方法にあるようです。

次ページ脳は顔の認識と、表情や個体認識を別々に行っている

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