外来種を駆除するため「黒い悪魔」が3000年ぶりにオーストラリア本土へ帰還!

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3000年ぶりにオーストラリア本土に復帰したタスマニアデビル
3000年ぶりにオーストラリア本土に復帰したタスマニアデビル / Credit: Aussie Ark

自然保護団体「オージー・アーク」は5日、絶滅危惧種のタスマニアデビルをオーストラリア本土の野生に戻すことに成功したと発表しました。

黒い悪魔の二つ名をもつタスマニアデビルは現在、タスマニア島にのみ生息しており、本土への帰還は約3000年ぶりとなります。

オージー・アーク代表のティム・フォークナー氏は「10年以上にわたりタスマニアデビルの再導入計画を続けてきて、最初の目標を達成できたのは夢のようだ」と話しました。

タスマニア島にしかいない理由は?

肉食性の有袋類であるタスマニアデビルは、体長50〜60センチ、体重8〜12キロと小柄ですが、かなり気性の荒い動物です。

人や家畜を襲うことはありませんが、他の小動物を狩ったり、大型動物の死肉を食べたりします。

野生のタスマニアデビルはかつて、オーストラリア本土にも生息していましたが、野犬のディンゴとの争いに破れ、約3000年前頃に絶滅しました。

また、人が大型動物を過剰に狩猟したことで、タスマニアデビルの食料がなくなったことも一因と言われています。

タスマニアデビル
タスマニアデビル / Credit: ja.wikipedia
ディンゴ
ディンゴ / Credit: ja.wikipedia

一方で、タスマニア島にはディンゴがいなかったため、生き残ることができたと言われています。

ところが、1990年代まで約15万匹いたタスマニア島の個体群も、顔に腫瘍ができる伝染病の流行により、大部分が死滅。結局は、2万5000匹ほどまで激減していました。

26匹が本土に帰還!

プロジェクトチームは、十数年かけて本土に戻すためのタスマニアデビルを飼育しています。

そして今年3月、オーストラリア南東部・シドニーにある「バーリントントップス国立公園」の保護区に、15匹のタスマニアデビルを放しました

15匹にはそれぞれ発信器をつけて追跡観察し、最初は野生環境に慣れてもらうため、カンガルーの死肉をエサとして置いています。

野生に戻すためにタスマニアデビルを飼育
野生に戻すためにタスマニアデビルを飼育 / Credit: Aussie Ark

新しい環境に慣れたところで、さらに9月に11匹のタスマニアデビルを追加で放しました。

すでに26匹はエサを与えなくとも自活できるようになっており、問題が発生しなければ、今後さらに40匹を放すとのことです。

タスマニアデビルの復活で生態系が回復する

タスマニアデビルの再導入には、れっきとした理由があります。

現在、オーストラリア本土では、野生のネコやキツネが膨大な数の動物を殺し、生態系のバランスが崩れているのです。

このネコとキツネは、オーストラリア原産の生物ではなく、ヨーロッパの移住民によって18世紀に持ち込まれました。

かつてはディンゴがネコやキツネの数をコントロールしていたのですが、ここ数十年で野生のディンゴがほぼいなくなったため、今ではネコとキツネの好き放題になっているのです。

しかし、タスマニアデビルの導入により、この状況は大きく変わります。

タスマニアデビル
タスマニアデビル / Credit: Aussie Ark

フォークナー氏によれば、「ネコは夜行性のタスマニアデビルに遭遇しないよう、早朝や夕方にエサを探すようになる」といいます。

そのおかげで、他の夜行性の小動物がネコに襲われなくなり、保護につながるのです。実際、ネコよりもタスマニアデビルの数が多い地域では、複数の夜行性動物が増加傾向にあることが分かっています。

キツネについても同じことが言えます。

これまで、外来のキツネを6回ほどタスマニア島に導入する試みがなされましたが、そのすべてで失敗しました。これはタスマニアデビルがコロニーを形成して、キツネが住み着けなかったからだと言われています。

タスマニアデビルは、外来種からオーストラリアの生態系を守る目的で期待されているのです。

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