ひげをソナーにして獲物をハント、「半水棲ネズミ」の新種を2種発見(コンゴ)

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新種の半水棲ネズミを発見
新種の半水棲ネズミを発見 / Credit: Velizar Simeonovski, Field Museum
reference: phys

世界有数の生物多様性を誇るアフリカには、水中生活に適したネズミがいます。

しかし、政情不安のせいで、立ち入り厳禁な生息域も多く、詳しく調査されたことはありませんでした。

そこで今回、米・シエナ大学とシカゴ・フィールド自然史博物館の研究グループは、アフリカ中部のコンゴ盆地でネズミの捕獲調査を開始。

その結果、半水棲ネズミの新種を2種特定することに成功しました。

ヒゲを「ソナー」にして獲物を探知

これまでに見つかっている半水棲ネズミは、「ナイロペガミス属(Nilopegamys)」「コロミス属(Colomys)」の2グループです。

ナイロペガミス属は、1927年に東アフリカのエチオピアの川で捕獲された1体のみ知られており、標本はフィールド自然史博物館に保管されています。

一方のコロミス属は、コンゴ盆地全域と西アフリカの熱帯雨林に生息し、ナイロペガミスより数は多く見つかっていますが、捕獲は困難をきわめるそうです。

コロミス属の捕獲に協力する現地のレンジャー
コロミス属の捕獲に協力する現地のレンジャー / Credit: Credit: Terry Demos, Field Museum

ナイロペガミスについては、すでに絶滅している可能性が高いため、研究チームは今回、現地レンジャーの協力のもと、コンゴ盆地でコロミス属の捕獲を行いました。

コロミス属は、鼻先のヒゲを浅瀬の水面に浸してソナー代わりにし、川の流れや水生昆虫の気配を感知します。狩りをする際、ヒゲから伝わる獲物の位置情報を処理するため、コロミス属の脳は比較的大きく発達しています。

ヒゲをソナーにするために浅瀬を歩いていることが多いのですが、上のように流れが急で深さのある川や沼地にも潜んでいるようです。

コロミス属の新種を2種発見!

捕獲した個体と過去の標本から、コロミス属の身体的特徴を比較し、DNAを分析した結果、新たに2つの新種が特定されました。

1つは、コンゴ独立運動の指導者パトリス・ルムンべにちなんで「コロミス・ルムンべ(Colomys lumumbai)」と、もう1つは西アフリカ・リベリアにあるウォロギジ山脈にちなんで「コロミス・ウォロギジ(C. wologizi)」と命名されています。

コロミス・ルムンべ(右)、左は既存種の「C. goslingi 」
コロミス・ルムンべ(右)、左は既存種の「C. goslingi 」 / Credit: Giarla et al

さらに、ナイロペガミス属の標本の頭蓋骨からDNAを採取し分析したところ、コロミス属とは近縁グループに当たることが判明しました。

同チームのジュリアン・カービス・ピーターハンズ氏は「コンゴ盆地には、この70年間ほとんど開拓されていない広大な地域があり、これらのネズミがどれほど豊富に分布しているかは分かりません。この研究は、保護すべきエリアを特定するための重要な一歩となるでしょう」と話しました。

これとは別に、半水棲のネズミは、フィンのように幅広い足先や撥水性の高い体毛など、普通のネズミと異なる点が多く、ネズミの進化を理解する上でも貴重な存在となっています。

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