キック力を電気に変換するサッカーボールが、子どもたちの未来を明るくする

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サッカーボール型発電機「ソケット」
サッカーボール型発電機「ソケット」 / Credit:Da Vinci TV

発展途上国などの一部の地域では電力が非常に貴重です。そもそも家に電気がひかれていないため明かりがなく、子供たちが夕方以降読書したり勉強したりすることさえ難しいでしょう。

発明家また起業家であるジェシカ・O・マシューズ氏は、そのような地域の子供たちに光を提供するため、発電できるサッカーボール「ソケット(英: soccket)」を開発しました。

ソケットは通常のサッカーボールとして利用することで発電・貯蔵できるため、夜間の明かりを提供する携帯用電源として活躍します。

「最も有望な女性起業家」がナイジェリアの子供たちのために発明する

ジェシカ・O・マシューズ氏
ジェシカ・O・マシューズ氏 / Credit:Da Vinci TV

マシューズ氏はナイジェリア系米国人であり、米国とナイジェリアの二重国籍者として育ちました。

そしてナイジェリアの小さな村を訪れた際に出会った子供たちから発明品の着想を得たようです。

彼女が出会った子供たちは厳しい生活条件の中で過ごしています。特に夜は電力源が無いため、明かりをつけて勉強できません。もちろん、ろうそくによって明かりを灯すこともできますが、持続性はなく勉学に集中するのは難しいでしょう。

しかし、そんな厳しい環境でも、子供たちは昼間幸せそうにサッカーをして遊んでいたとのこと。

サッカーを楽しむ子供たち
サッカーを楽しむ子供たち / Credit:Da Vinci TV

これらを注意深く観察したマシューズ氏は、この2つの側面を結び合わせた発明品を思いついたのです。

それがサッカーボール型発電機「ソケット」です。

2008年に初めて開発されたソケットは、改良が重ねられていきました。マシューズ氏がCEOを務める会社UnchartedPowerによって多くのソケットが製造されており、2017年の時点で既に50万個のソケットがアフリカやラテンアメリカなどの発展途上地域で使用されるようになったのです。

マシューズ氏はその功績から2011年にはビジネス誌フォーチュンの「もっとも強力な女性起業家10人」に選ばれ、2015年にも「最も有望な女性起業家」として指名されました。

運動エネルギーで発電するサッカーボールの仕組み

ソケットは電気を貯蔵できる
ソケットは電気を貯蔵できる / Credit:Da Vinci TV

ソケットはボールを蹴ったときに生じる運動エネルギーを電力に変換できる「サッカーボール型発電機」です。

通常のサッカーボールと違い、ソケットには空気が含まれていません。そのため、空気が抜けて萎んでしまうこともありませんし、空気を入れて膨らませる必要もありません。

ソケット内部には空気の代わりに発電機がある
ソケット内部には空気の代わりに発電機がある / Credit:Da Vinci TV

ソケットボールの中心部には空気の代わりに発電機が内蔵されています。

内蔵されている振り子がボールを蹴ることで回転し、モーターを回転させます。これによってリチウムイオン電池が充電されるため、必要な時にプラグを差し込んで電力を使用できるのです。

ボールを蹴ることで振り子が回転しモーターを回す
ボールを蹴ることで振り子が回転しモーターを回す / Credit:Da Vinci TV

ちなみに、ソケットで1時間サッカーすると、3時間分のLEDライトが使用可能になります。子供たちはソケットで昼間楽しく遊び、夜にはその光で十分勉学に励むことができるでしょう。

現在でもソケットの耐久性を向上させるため改良が続けられています。

このマシューズ氏の発明は、多くの子供たちに2つの意味で光を与えることとなりました。

1つは文字通りの「夜間の光」であり、もう1つは子供たちが学ぶことで得られる「将来の可能性」という光です。

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