怒るハダカデバネズミ。彼らは昆虫のような女王を頂点にした社会を形成する
怒るハダカデバネズミ。彼らは昆虫のような女王を頂点にした社会を形成する / Credit:: Buffenstein Barshop Institute
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ハダカデバネズミは赤ちゃんを奴隷にするために隣の巣を襲って誘拐していた

2021.01.27 Wednesday

2020.10.17 Saturday

ハダカデバネズミは哺乳類でありながら昆虫のような社会を築きます。

群れの中で繁殖を行う個体は1匹の女王ネズミと1 匹~数匹のオスのみであり、他の個体は繁殖することなく「働きネズミ」として一生を労働に捧げます。

またハダカデバネズミには数々の奇妙な能力があることが知られてます。

地中での生活に適応するため、酸素濃度が完全に0%となっても18分間、後遺症なしに生き延びられる低酸素耐性を保持しています。

さらに、ガンに対して強い耐性があり、老化も非常に緩やかで30年も生きる個体もいます。これは通常のネズミの10倍にあたります。

痛みにも強く、酸・カプサイシン・わさび・激しい熱にも平然としています。

多細胞動物の最強生命がクマムシならば、哺乳類界最強の生命はハダカデバネズミだと言えるかもしれません。

そんな最強哺乳類のハダカデバネズミですが、9月28日に『Journal of Zoology』に掲載された論文によれば、ハダカデバネズミは他の巣を襲撃して、赤ちゃんネズミを誘拐し、自分たちの巣の奴隷にする侵略性をもつことが判明したとのこと。

地下ではいったい、何が起きているのでしょうか?

Journal of Zoology https://zslpublications.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jzo.12834

謎の勢力拡大

ハダカデバネズミは一緒のほとんどを巣穴の内部で過ごし草の根やミミズを食べて生きる
ハダカデバネズミは一緒のほとんどを巣穴の内部で過ごし草の根やミミズを食べて生きる / Credit:フランスランティング/コービス

数々の優れた特性を持つハダカデバネズミは多くの生物学者の興味を引き、様々な研究が行われています。

ワシントン大学のブロード氏もその1人であり、ケニアのメル国立公園でハダカデバネズミの巣(コロニー)を観察していました。

すると、ある日、奇妙な事実に気が付きます。

以前は他のコロニーが占めていた巣穴に、自分たちの領域を拡大している26もの例を発見したからです。

あるコロニーが使用中の巣穴を無償で他のコロニーに簡単に受け渡すとは考えられません。

そこで研究者たちは一帯のコロニーに住むハダカデバネズミを捕獲し、個体識別タグをつけて巣に戻すという作業を繰り返し、数年に渡る長期の観察をはじめました。

結果、地下で勃発していた戦乱と略奪を目にすることになります。

次ページ暴行と誘拐が起きていた

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