マゼンタで色付けされた膀胱内の信号と、シアンで色付けされたセンサータンパク質「PIEZO2」を検出する感覚ニューロン。
マゼンタで色付けされた膀胱内の信号と、シアンで色付けされたセンサータンパク質「PIEZO2」を検出する感覚ニューロン。 / Credit:Courtesy of Adam Coombs
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「トイレにいきたい!」という感覚はどこから来るのか? “膀胱が満杯であることを察知する”センサータンパク質を初めて特定 (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.10.17 Saturday

前ページ組織の歪みを感知するメカセンサータンパク質「PIEZO2」

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「PIEZO2」が欠損したらどうなるのか?

触覚において重要な「PIEZO2」ですが、世の中にはこの「PIEZO2」の機能損失につながる遺伝子変異を持って生まれた人々がいて、「PIEZO2」に関連した感覚機能にさまざまな障害を受けています。

今回の研究チームのメンバーは当初、感覚障害などについて研究をしており、その中で「PIEZO2」欠損者が膀胱が満タンになっているという正常な感覚を欠いているという事実を発見しました。

この障害を持つ人々は、失禁を避けるために排尿を予定通り行うことや、排尿時に膀胱を完全に空にするということができませんでした。

膀胱に溜まった尿による組織の伸縮。
膀胱に溜まった尿による組織の伸縮。 / Credit:depositphotos

研究チームは、この「PIEZO2」の欠損がマウスでも同様の症状をもたらすことを実験で示しました。

マウスの尿路には、膀胱の感覚ニューロンと表層の細胞(アンブレラ細胞)に「PIEZO2」タンパク質が存在していて、組織の伸縮を検知し排尿を促進させていることがわかりました。これは膀胱の制御に2つのセンサーシステムが存在していることを示しています。

マウスの膀胱ニューロンは通常、膀胱が満タンになると神経信号でしっかり反応していますが、「PIEZO2」が欠損していると膀胱が満たされているということを感知できなくなったのです。

また、「PIEZO2」を欠損している場合、排尿時の筋肉制御にも異常が見られたといいます。

これは、マウスもヒトも、正常な膀胱の感覚や、正常な排尿に「PIEZO2」が必要であることを示唆しています。

次ページ排尿障害の治療が期待できる

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