気温上昇によりアルプスの氷河から9500年前の遺跡を発見! しかし”時間が経つと劣化してしまう”問題が深刻化

1999年に氷山で見つかった木彫りの人形
1999年に氷山で見つかった木彫りの人形 / Credit: phys

 

reference: sciencealert, phys

近年、温暖化の影響で、永久凍土から数万年前に絶滅したホラアナグマライオンが次々と発見されています。

また、氷河から見つかるのは動物のミイラだけではありません。

スイスの考古学チームはこのほど、アルプス山脈の氷土から、中石器時代の水晶の鉱脈を新たに発見しました。

これは初期人類が約9500年前に水晶を求めて掘った跡とのことです。

その中で、「氷河考古学(英: glacier archaeology)」という新しい学問分野の必要性が高まっています。

「氷山」がこれからの重要な発掘現場に

鉱脈が発見された場所は、スイス東部に位置する「ブルニファーム氷河」の標高2800メートル付近です。

1990年初頭まで、専門家たちは「先史時代の人類が高山に登ることはなかった」と考えていました。

しかしそれ以降、氷河が溶け出したことで数々の遺物が発見されており、アルプス山脈のような高山が何千年にもわたって人類の活動でにぎわっていたことが示されています。

氷河から出土した先史時代の編みかご
氷河から出土した先史時代の編みかご / Credit: phys

現在では、当時の狩猟採集民が動物を狩ったり、資源を得るために高山を頻繁に利用したと考えられるようになりました。

考古学者の多くは「気候変動がもたらす被害は嘆かわしい反面、数千年前の高山での活動に対する理解を劇的に広げる機会となる」と話しています。

登山家が遺物を持ち帰ってしまう?

気候変動が、こうした驚くべき発見を可能にする一方、懸念すべき問題もあります。

というのも、氷河から露出した動物のミイラや人工物は、即座に発見・保護しなければ、急速に腐食し、崩壊し始めるのです。

氷河の融解は、多くの考古学的なお宝を提供してくれるものの、そのお宝にはタイムリミットがあります。また、考古学者たちが、お宝が現れるのを氷河の上で待ち構えるわけにもいきません。

紀元前2800年頃の靴
紀元前2800年頃の靴 / Credit: phys

代わりに、登山家が遺物の発見を報告してくれることが多いのですが、これにも問題があります。

一般の登山家たちは、出土した遺物が貴重なものと気づかず、自宅に持ち帰ってしまうケースが多発しているのです。

1999年に、イタリア人の登山家が発見した木彫りの人形(冒頭画)は、昨年になるまで自宅のリビングに飾られていました。しかし、調査の結果、数千年前に人類がつくった貴重な遺物と判明しています。

研究者らは「アルプスに点在する約4000の氷河のうち、95%が今世紀末までに消滅する可能性がある」と指摘します。

そのため、氷河に埋まった遺物を救出するには、専門家と登山家の協力が必要なのです。

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