1999年に氷山で見つかった木彫りの人形
1999年に氷山で見つかった木彫りの人形 / Credit: phys
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気温上昇によりアルプスの氷河から9500年前の遺跡を発見! しかし”時間が経つと劣化してしまう”問題が深刻化 (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.10.19 Monday

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登山家が遺物を持ち帰ってしまう?

気候変動が、こうした驚くべき発見を可能にする一方、懸念すべき問題もあります。

というのも、氷河から露出した動物のミイラや人工物は、即座に発見・保護しなければ、急速に腐食し、崩壊し始めるのです。

氷河の融解は、多くの考古学的なお宝を提供してくれるものの、そのお宝にはタイムリミットがあります。また、考古学者たちが、お宝が現れるのを氷河の上で待ち構えるわけにもいきません。

紀元前2800年頃の靴
紀元前2800年頃の靴 / Credit: phys

代わりに、登山家が遺物の発見を報告してくれることが多いのですが、これにも問題があります。

一般の登山家たちは、出土した遺物が貴重なものと気づかず、自宅に持ち帰ってしまうケースが多発しているのです。

1999年に、イタリア人の登山家が発見した木彫りの人形(冒頭画)は、昨年になるまで自宅のリビングに飾られていました。しかし、調査の結果、数千年前に人類がつくった貴重な遺物と判明しています。

研究者らは「アルプスに点在する約4000の氷河のうち、95%が今世紀末までに消滅する可能性がある」と指摘します。

そのため、氷河に埋まった遺物を救出するには、専門家と登山家の協力が必要なのです。

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