ワームホールを「影」で観察できるという研究が発表される

space 2018/04/17
Credit: 禁书网中国禁闻 on Visual Hunt / CC BY-NC-ND

時空を貫通してつなぐことで超光速移動を可能にする、理論上の存在「ワームホール」。その影などの痕跡によって、ワームホール望遠鏡で観察できるかもしれないことが新しい研究で明らかになりました。曲がった楕円形のワームホールの影は、円形の点であるブラックホールの影と区別できる可能性があり、もし観測できたとするならば、1世紀前にアインシュタインによって提唱された宇宙の抜け道がいっそう現実味を増すことになります。

Shadows of rotating wormholes
https://arxiv.org/abs/1803.11422v1

ワームホールは宇宙の抜け道で、超空間を貫通するトンネルです。片方から飛び込むと、宇宙のもう一方の端に飛び出すことが出来るといわれています。光速を超えた移動を可能にする便利な方法で、SFにおける代名詞の一つです。この技術は、アインシュタインの一般相対性理論から生まれました。ブラックホール周辺の時空と同様に、ワームホール周辺の時空の平面も歪んでおり、光は真っ直ぐ進めません。そばにあるガスやチリ、あるいは背景の星からの光はワームホールの周りに捕らえられて、光の輪が出来ます。ワームホールに近づきすぎると、その中に落ち込むため、暗くて丸い無の空間である「影」が残るのです。

これらの「影」に似ているのが、ブラックホールの中心の「影」。天文学者は現在、ブラックホールの中でも巨大な、天の川銀河の中心にあるブラックホールを直接観測しようと試みています。ブラックホールの影は非常に小さいものと推測されるので、天文学者たちは、地上の電波望遠鏡を互いにつなぎ、1つの巨大な地球サイズの望遠鏡として使うことで、観測しようとしています。この望遠鏡は「事象の地平線望遠鏡(EHT)」と呼ばれています。去年集められたデータを、現在天文学者たちが解析しているところです。

Credit: NASA’s Marshall Space Flight Center on Visual Hunt / CC BY-NC

一方、回転するタイプのワームホールの影は、ブラックホールのものよりも大きくて歪んだ形をしていることが、インドの物理学者ラジブル・シャイク氏による新たな研究で明らかになりました。ワームホールの回転が早くなるにつれて、その影はわずかに押しつぶされます。ブラックホールの場合は円盤状のままです。「影を観察することによって、ブラックホールとワームホールを区別できるかもしれません」とシャイク氏は言います。

「研究者たちは以前も回転するワームホールの影を計算していますが、その時は2つの端をつなぐ「喉」の効果を見落としていました。あらたな解析法を使うことで、天文学者たちは、論理的にはワームホールの影を特定することが出来ます。もし特定できたなら、それはSFの世界が実現する証拠となるばかりでなく、ある種のエキゾチック物質の間接的な証拠や重力法則の修正を促すものとなるでしょう」

「一般相対性理論によると、ワームホールは開き続けるために反重力として振る舞うエキゾチック物質の存在を必要とします。もしそれがなければ、ワームホールは即座に崩壊します。あるいは、安定したワームホールの存在は、重力法則の見直しを迫るでしょう」

 

今回の論文が掲載されたのは、未発表論文を掲載するarXiv誌です。現時点で立証するには弱いかもしれませんが、シャイク氏はすでに論文をPhysical Review D誌に提出しており、現在審査中とのこと。また研究内容は回転している特殊なワームホールについてですが、今後他のタイプのワームホールについても同様の傾向が見られないかなど、研究を広げていく予定です。

宇宙の離れた2地点をつなぐ!「磁気ワームホール」が実験室でつくられていた

 

via: Live Science/ translated & text by SENPAI

 

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