すべての「酵母」は中国が起源だった

animals_plants 2018/04/19
Credit: Richard Levine / Corbis / Getty Images
Point
・1,000の酵母を調べた結果、起源が中国に由来していると判明
・中国の酵母に最も多様性が確認された
・調査結果は人間の遺伝子学に応用できる可能性がある

 

フランスの遺伝学者たちが、地球上のあらゆる場所に存在する1,000の酵母を調べた結果、その起源が東アジア、特に中国に由来していることがわかりました。“Nature”にその研究が掲載されています。

Genome evolution across 1,011 Saccharomyces cerevisiae isolates
https://www.nature.com/articles/s41586-018-0030-5

遺伝学者 “Gianni Liti氏”と“Joseph Schacherer氏”は、5年に渡りビールやパン、ワインだけでなく、汚水や樹皮、腐りかけのバナナに至るまで、あらゆるものから酵母を採取し調査を行いました。彼らは単に1,000種類の「ワインだけ」の酵母を調査するのではなく、世界中の様々な環境に存在している酵母について調べることで、その起源について突き止めることに成功したのです。

中国では、世界中のどこよりも酵母に遺伝的多様性が確認されました。同じ中国内の南の島である「台湾」と「海南(ハイナン)島」の酵母株の違いは著しく、大西洋を挟んだ「アメリカ」と「ヨーロッパ」でみられる酵母株以上の違いがあることがわかったのです。

すなわち、「酵母菌の起源が中国にある」といった説は、「人間の起源がアフリカにある」といった説と近いものがあります。アフリカは、「ホモ・サピエンス」について言えば地球上で最も遺伝的多様性がみられる地域です。すべての人類が元をたどればアフリカ大陸に行き着くように、すべての酵母が元をたどれば東アジアに行き着くのです。

Credit: Pixabay

「酵母菌がそれぞれどのように異なるのか」といった点についても驚くべき発見がありました。ふつう酵母の違いは、それぞれの酵母株から同じ遺伝子を取り出し、塩基配列の違いを観察するといった方法で行われます。しかし、ここで彼らは「ゲノムの中で特定の遺伝子が複製された回数」の方が、より酵母株の違いを作り出していることに気がつきました。

つまり、「遺伝子の配列」ではなく「酵母株が遺伝子を複製した回数」によって、酵母株の特徴の違いを説明できるといったことです。また、レスター大学の遺伝学者エド・ルイス氏は、「この『複製の回数が違いを作る』といった事実は人間の遺伝子にも当てはまる可能性がある」と語っています。

 

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via: theatlantic / translated & text by なかしー

 

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