木像は「ビーバーの歯」で作られた?
木像の彫刻には、少なく見積もって3種類の石器が使用されたと考えられていますが、近年の研究で、そのひとつにビーバーの歯から作られた石器が含まれていたことが分かっています。
実験でも、ビーバーの歯を研ぐことで凹面を彫るのに優れた石器が作れると実証されており、さらにシギルの偶像と同時代の別の遺跡で、ビーバーの下アゴから作られた石器も出土しています。
おそらくビーバーの石器は、木像の大枠を削る目的よりも、顔の部位や模様を彫るのに使われたのでしょう。
長年、シギルの偶像を研究するツィーリン教授は「これは大きな価値を持った、世界に類を見ないユニークな彫刻です。そこに刻まれたメッセージは現代人にとって全くの謎ですが、これを作った人々が、高度な知性と複雑な精神世界を持っていたことが確かでしょう」と話しています。
シギルの偶像は現在、エカテリンブルクにある「スヴェルドロフスク州歴史博物館」に展示されています。