太陽光反射率95.5%の「放射冷却式白色塗料」
郊外に比べて都市部ほど気温が高くなる現象をヒートアイランド現象と呼びます。そしてこの原因の1つは植生域(草地・森林・水田)の縮小と人工被覆域(アスファルト・コンクリート)の拡大にあります。
![(左)関東地方における2013年8月の月平均気温の都市あり実験結果,(中)都市なし実験結果,(左)都市化の影響による月平均気温の変化:「都市あり実験」と「都市なし実験」の差](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/553a3caabb60b8082613f317c1eef424-900x314.png)
そのため特に都市部では「温度を上昇させない」または「すばやく冷却できる」取り組みが必要です。
その点、科学者たちは何十年にもわたって放射冷却塗料の開発に取り組んできましたが、効率と費用対効果において有用な塗料の開発には至りませんでした。
しかし、ルアン氏らが開発した新しい塗料には大きな可能性が秘められています。
![(左)新しい炭酸カルシウム塗料(右)従来の市販塗料](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/f9ab77c1c990d99bf0b5bec200b63ba1.png)
これまでに開発されてきた同タイプの塗料には二酸化チタン粒子が用いられていましたが、新しい放射冷却式白色塗料は、比較的安価で豊富な炭酸カルシウムを使用しています。
![炭酸カルシウム物質がエネルギーを放散する](https://nazology.net/wp-content/uploads/2020/10/102048ff21318d4da29b0700dbacba15.png)
ルアン氏によると、炭酸カルシウム物質は塗料が吸収する紫外線の量を最小限に抑え、粒子の濃度と構造が散乱を促進して多くのエネルギーを放射するとのこと。
実際、従来の市販塗料の太陽光反射率が80~90%なのに対し、新しい放射冷却式白色塗料は、太陽光反射率95.5%という数値を示しました。