暗黒物質の正体といわれる「アクシオン」を検出可能な測定装置が完成

space 2018/04/18
Point
・素粒子アクシオンは暗黒物質の候補とされる物質で、存在は未証明
・測定装置の改良で、アクシオンの測定が可能なレベルを達成
・今後の観測で暗黒物質アクシオンが見つかる可能性がある

 

あと数年で暗黒物質(ダークマター)の本体がわかるかもしれません。ワシントン大学を拠点としてフェルミ国立加速器研究所が開発していたThe Axion Dark Matter Experiment(ADMX)の感度が上がり、暗黒物質候補の一つである「アクシオン」の検出が現実的なものとなりました。

暗黒物質とは、銀河の運動において説明がつかない現象を説明するために、存在が予想されている質量を持つ物質で、宇宙の25%を占めると言われています。観測による間接的な証拠は出ていますが、目に見えないその性質から直接の観測はできていません。「アクシオン」はその暗黒物質の本体ではないかと予想されている素粒子で、今のところ存在は証明されておらず、理論上の存在でしかありません。強いCP問題と呼ばれる未解決問題を解決する粒子として提唱されており、とても小さいですが質量を持つと考えられています。

Credit: Mark Stone/University of Washington

“Physical Review Letters”誌に掲載された論文で、ADMXが世界で初めてアクシオンの痕跡を「聴く」のに必要な感度を達成したと発表されました。ADMXはアクシオン検出器で、基本的には巨大でノイズの少ない電波受信機です。ワシントン大学の物理学者グレイ・リブカは、これをAMラジオに例えます。異なる周波数でアクシオンが発すると思われる電波を捉えることで、その存在を検知するのです。アクシオンは物質とは干渉しませんが、強い磁場の元で光に変わると予測されていて、それを電磁波に変換することが出来ます。

アクシオンを検出する電磁波を捉えるには、バックグラウンドノイズをいかに減らすのかが問題でした。ノイズは熱放射と検出器自身の電子機構から生み出されます。熱放射については温度を絶対零度近くまで下げることで減らすことが出来ていましたが、電子機構からのノイズを下げるのは難しかったのです。今回、超電導量子増幅器を使うことで、このノイズを減らし、検出の可能性を満たすレベルにまで上げることが出来ました。改良前の検出器では何百年もかかるシグナルのスキャンが、数年にまで短縮されたといいます。

ワシントン大学の物理学教授レスリー・ローゼンバーグは言います。「新しい技術は必要ありません。もう奇跡を待つ必要はないのです。ただ、数年待てばいいだけなのです」

まだアクシオン粒子が存在するかどうかはわかりませんが、数年後にははっきりした結果が出るはずです。期待して待ちましょう。

 

ふり出しに戻る。 暗黒物質は重力以外の力では相互作用しないと発覚、観測ますます難しく

 

via: UW news/ translated & text by SENPAI

 

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