初撮影された自然の中でトグロコウイカの泳ぐ姿。
初撮影された自然の中でトグロコウイカの泳ぐ姿。 / Credit:Schmidt Ocean/YouTube
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体の中にアンモナイト?深海の奇妙なイカ「トグロコウイカ」が初めて撮影され、科学者が大興奮 (3/4)

2021.01.27 Wednesday

2020.10.29 Thursday

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頭が上にある! 研究者が驚く理由

触手のある方が頭。この映像ではイカは頭を上にして泳いでいる。
触手のある方が頭。この映像ではイカは頭を上にして泳いでいる。 / Credit:Schmidt Ocean/YouTube

珍しいのはわかりましたが、研究者たちが興奮している理由はそれだけではありません。

この映像の中には、これまでの推定や水槽の飼育からでは謎だった、ある問題を解明する糸口が映っているのです。

「撮影の向きが完全に決まっているのだとしたら、これは革命的な発見だ」ブルゴーニュ大のパスカル氏はそう語っています。

その理由は彼らの頭が上にあるということです。イカは頭足類という呼び名の通り、腕が付いている方が頭です。

トグロコウイカは先に解説したように、頭とは反対側の体内に浮力を調整する螺旋状の殻を持っています。そのため研究者は体が上を向き、頭は下を向いて泳いていると考えていたのです。

これは捕獲されたトグロコウイカを水槽に入れても、頭を下にして泳いでいたため当然だと考えられていました。

しかし、この考え方には問題がありました。

トグロコウイカは光を発生させる発光臓器を浮力のある殻の近くに持っているのです。

発光臓器は海の生物の多くが持っていますが、その目的は捕食者の目を撹乱することです。黄昏時の海では、捕食者の目は餌のシルエットを見つけようと上に向けられています。発光臓器は、そのシルエットを光で隠す役割を持つのです

ということは発光臓器は当然、下を向いていなければ意味がありません。トグロコウイカが頭を下にして泳いでいたら、発光臓器は上を向いてしまうため、構造的におかしいのです。

しかし、この映像では浮力を持つ殻を下に向けて泳いでいる姿が映っています。そのため研究者たちは「Wow!」と驚いたのです。

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