タコの足は「味覚」を感じて、”脳がなくても”獲物を識別できると判明

タコの足は「味覚」を持つ?
タコの足は「味覚」を持つ? / Credit: Lena van Giesen

タコの足は、全身のニューロンの3分の2を占めており、脳とは独立して働きます。

そのため、胴体から切り離されても、1時間近くは足を動かして、物をつかむことができるのです、

アメリカ・ハーバード大学は今回、タコの足の秘密に迫るべく、吸盤内にある感覚細胞の働きを調べました。

その結果、タコは足で「味覚」を感じ、無生物と獲物を見極めている可能性が示唆されています。

研究は、10月29日付けで『Cell』に掲載されました。

 

 

タコの足は水に溶けない分子を”触覚”で捉える

研究チームは、カリフォルニア沖に生息するマダコの吸盤から、「走化性受容体」と呼ばれる感覚細胞を特定しました。

「走化性受容体」は、あらゆる外的刺激に反応する一種のセンサーであり、私たちの鼻や舌のように分子を検知する働きがあります。

このセンサーが、触れているものの情報をシグナル伝達のかたちで神経系に送ることで、無機物か生物かを判別していました。

例えば、触っているものが無機物の場合、足との接点でシグナル伝達が停止しますが、獲物の場合、もがいている動きによって逐一信号が発生するのです。

タコの足は水に溶けにくい分子を触覚できる
タコの足は水に溶けにくい分子を触覚できる / Credit: cell

さらに詳しく調べるため、タコの足から「走化性受容体(センサー)」を単離してクローン複製し、カエルの卵やヒトの細胞株に挿入しました。

その後、この細胞をタコのエサから検出される化学物質やセンサーが反応することで知られる分子にさらしました。その中には、塩やアミノ酸のような水溶性のものもあれば、水に溶けにくい分子も含まれています。

その結果、走化性受容体は、水に溶けにくい分子に対して明確に反応することが分かりました。

同チームのニコラス・ベローノ氏は、これについて「驚くべき発見だ」と述べます。

「というのも、水棲生物の多くは、水に溶けた化学物質を通してシグナル伝達を行うのですが、タコは水に溶けない分子を”触る”ことでシグナル伝達していたからです」と説明しました。

タコ足は「味覚」によって対象を識別していた

また、走化性受容体は、触れるものによって異なる反応を示しました。

例えば、タコが好物とするカニや小魚に接すると、一部の走化性受容体が強く活性化することが分かっています。

実験の様子
実験の様子 / Credit: Peter Kilian

さらに、タコが捕食する生物の中には、防御や警告のシグナルとして水に溶けにくい「テルペノイド」という化学物質を産生するものがいます。タコはこうした分子に反応して、有害なエサを避けるようにしていたのです。

ベローノ氏は「タコの走化性受容体は、さまざまな風味のする分子を味覚することで、好物の味や不快な味、あるいは危険な味などを見極めているのでしょう。この働きにより、タコの足は半自律的な器官として、外部情報を処理し、複雑な行動を作り出していたのです」と指摘します。

実験中のタコ
実験中のタコ / Credit: Lena van Giesen

研究チームは今後、走化性受容体が他の多くの天然化合物に反応できる可能性があることから、調査を継続する予定です。

タコの足の情報処理能力をより深く理解することで、全ニューロンの3分の2が足に集約している理由も説明できると見られます。

それは単なる8本の足に過ぎませんが、「考える足」なのかもしれません。

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