重力マイクロレンズ効果で発見された地球質量の自由浮遊惑星。
重力マイクロレンズ効果で発見された地球質量の自由浮遊惑星。 / Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.
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アインシュタインの理論により、宇宙を孤独に旅する最小の「自由浮遊惑星」を発見! 惑星形成のナゾを解くカギになるかも (3/4)

2021.01.27 Wednesday

2020.11.04 Wednesday

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宇宙で広く重力マイクロレンズを探る「OGLE(オーグル)」

「もし、1つの天体の源に絞って重力マイクロレンズが起きるのをじっと待っていたら、自由浮遊惑星を発見するの100万年近く待たなければならないでしょう」今回の研究の主執筆者であるカリフォルニア工科大学のポスドク研究者プシャメク・モルズ氏はそう語ります。

しかし、幸いなことにモルズ氏のチームは研究のために1つの星を観測する必要はありませんでした。彼らは何億もの星を一挙に観測したのです。

これを可能にしたのはポーランドのワルシャワ大学が主導する重力マイクロレンズを発見するプロジェクト「OGLE(オーグル)」でした。

このプロジェクトはもともと重力レンズを利用して暗黒物質を発見するということが主目的でしたが、1992年以降28年以上に渡って、最大かつ最長の空の調査を行っており、少なくとも17個の太陽系外惑星を発見しています。

モルズ氏のチームもこのOGLEの観測を利用して、天の川中心部の重力マイクロレンズの兆候を探したのです。

小さな惑星の起こす重力マイクロレンズは非常に短時間しか起こらない。
小さな惑星の起こす重力マイクロレンズは非常に短時間しか起こらない。 / Credit: Jan Skowron / Astronomical Observatory, University of Warsaw.

こうしてチームは2016年6月に、これまででもっとも短い重力マイクロレンズ現象を銀河系のもっとも星が密集したエリアから発見しました

それは地球からは2万7千光年離れた場所で、約42分間だけ光が明るくなっていました

重力マイクロレンズ現象の持続時間は、そこにある天体の質量と関連しています。この観測データから計算すると、問題の天体は地球とほぼ同一か、小さくとも半分程度の質量で、周囲8天文単位(地球ー太陽間を基準にした宇宙の距離単位)以内のどの星にも属していませんでした

それはほぼ確実に、小さな自由浮遊惑星だと確認されたのです。

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