選択を他者が制御する方法が開発される
選択を他者が制御する方法が開発される / Credit:マイクワーフル
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脳に電流を流して、「意思決定を操作する」ことに成功! “嫌いなものを好きにさせる”実験 (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.11.03 Tuesday

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脳に電流を流して選択に介入する

脳に不正電流を流して選択結果を歪ませる
脳に不正電流を流して選択結果を歪ませる / Credit:depositphotos

他者による選択の制御を実現するにあたって、研究者はより人間に近いマカク属のサルの電極を埋め込み、異なる味のジュース(AとB)を飲ませる実験を行いました。

ジュースAとジュースBの組み合わせはレモネード、ペパーミント、塩水、フルーツポンチなど様々な味の中から選ばれ、サルたちは提示される2杯のどちらか一方を選択することで、その味のジュースを手に入れることができます。

またこのとき、ジュースAはジュースBに対して常においしい味に調整されています。

そのため通常時、サルたちはおおむねジュースAに相当する味を選択しました。

しかし研究者が脳に埋め込んだ電極から電流を流すと、変化がうまれます。

選択をつかさどる中枢に強い電流が流れると、サルは本来好きでない方のジュースBも選ぶようになったのです。

この事実は、電極からの電流の介入によって、ジュースAとジュースBの正常な活動比較が妨げられていることを意味します。

一方で、適正な電流を流した場合、元々の好みであるジュースAの選択頻度をさらに上昇させられることもわかりました。

適正な電流は2つの回路の活動を共に高めましたが、同時に活動の差も広げていたのです(ジュースA回路がジュースB回路よりも伸びがよかった)。

また別の実験ではジュースAとジュースBが一つずつ提示され、サルたちに時差をつけた選択機会が与えられました。

この実験では、サルが一方のジュース(例えばA)を検討している間に強い電流が脳に注がれます。

すると興味深いことに、サルは別のジュース(B)を選択するのです。

この事実は、検討中の脳回路に強い電流が流れ込むと、計算が中断され、検討していた方のジュースに対する魅力が失われることを意味します。

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