カイアファの墓と釘に見つかった共通点とは
そこで研究チームは、2本の釘とカイアファの墓の納骨箱から採取した堆積物とを比較分析しました。
その結果、両サンプルの炭素と酸素の同位体比から、どちらも異常に湿度が高い環境で保管されていたことが判明したのです。
また、両サンプルとも、流水の浸食によってできる炭酸カルシウム層を有していました。
この結果は、カイアファの墓が当時、ローマ帝国の水路近くに位置し、氾濫時には水流に飲まれたるような場所にあった点からも一致します。
さらに2つのサンプルからは、特殊な菌類の痕跡も発見されました。
この菌類は酵母菌の一種で、湿った環境でのみ生育し、エルサレムにある他の墓では見られないとのことです。
ここから同チームは「2本の釘がカイアファの墓に保管されていた可能性は十分ある」と指摘します。
それから、電子顕微鏡を使った分析で、釘に木くずと骨の微小な断片も発見されました。
研究主任のアレイ・シムロン氏は「古代ローマでは磔刑が一般的な刑罰になっていたため、イエスでなくとも、誰かの刑に使われた可能性は高い」と述べました。
また、釘が2本とも曲がっているのは、十字架に貼り付けた手が落ちないようにするためと見られます。