非接触「温度計ガン」で体温が測れる仕組みとは?

コロナ禍で温度計ガンが活躍
コロナ禍で温度計ガンが活躍 / Credit:depositphotos
reference: scienceabc

新型コロナウイルスの感染を防ぐため、あらゆる場所で体温を瞬時に測る必要が生じてきました。

そのため空港や職場、イベント会場などで非接触型の温度計ガン(赤外放射温度計)が活躍しています。

これまではマイナー機器だった温度計ガンが爆発的に普及したため、その仕組みに疑問を抱く人も多いでしょう。

科学情報サイト『ScienceABC』はこれに応じ、温度計ガンの仕組みについて解説しています。

人間は赤外線を放出している

温度計ガンの正式名称は「赤外放射温度計」であり、赤外線を測定する装置です。

そもそも、人間を含むすべての物体は絶対零度(-273.15℃)以上の温度を有しており、熱放射の形で熱を放出しています。

人間は赤外線として熱放射している
人間は赤外線として熱放射している / Credit:depositphotos

この「絶対零度以上の温度」では、原子が一定の運動状態にあり、運動エネルギーを持っています。そして温度が高いほど、原子や分子がもつ運動エネルギーも大きくなります。

またエネルギーが通常よりも高い、励起(れいき)された原子の電子がある軌道から別の軌道にシフトすると、電磁波としてエネルギーが放出されるのです。

このように運動エネルギーと物質中の電子の動きにより放出される電磁波は、熱放射に分類されます。

ちなみに発生源の温度によって放射される電磁波の波長が異なります。太陽などの高温物体からは主に可視が放出され、人間や動物などからは赤外線が放出されているのです。

しかも、この赤外線放射量は物体の温度が高いほど多く、温度の4乗に比例するシュテファン=ボルツマンの法則
)とのこと。

そしてこの赤外線放射量の違いを画像にしたのが赤外線サーモグラフィであり、温度という数値に変換したのが「赤外放射温度計」なのです。

温度計ガンは赤外線の量を数値化している

赤外放射温度計は赤外線量を測っている
赤外放射温度計は赤外線量を測っている / Credit:depositphotos

それでは温度計ガン(赤外放射温度計)が人間から体温を測るまでのプロセスをご紹介します。

最初に温度計ガンを人に向けて撃つと、レーザーが放出されます。勘違いしがちですが、このレーザーには検温機能はありません。単に測定対象に標準を合わせるためのポインタです。

しかしこの時、人間から放出されている赤外線が、収束レンズによって温度計ガン内のサーモパイル(変換器)に集光されます。

温度計ガンのプロセス
温度計ガンのプロセス / Credit:scienceabc

サーモパイルでは入射する放射線の量に応じて温度が上昇。しかし反対側には赤外線が直接入射しないため、温度が低いままです。

この温度差が電圧差をつくりあげるため、これにより電気が発生。ここで読み取られた電気信号は増幅器に掛けられます。

その後、増幅された電気信号はデータ収集回路へと渡され、最終的には「温度」としてディスプレイに表示されるのです。

このように温度計ガンは人間が放出している赤外線の量を測定して、素早く体温表記に変換してくれます。

ただし、温度計ガンを診断に使用すべきではありません。あくまで集団スクリーニング(検査・ふるい分け)に留めておき、診断へ繋げるための簡易検査アイテムと考えましょう。

今後も温度計ガンは幅広く活用されていくかもしれません。機能の限界を把握しつつ、健康維持に役立てられるといいですね。

みなさんのおかげでナゾロジーの記事が「Googleニュース」で読めるようになりました!
Google ニュースを使えば、ナゾロジーの記事はもちろん国内外のニュースをまとめて見られて便利です。
ボタンからダウンロード後は、ぜひフォローよろしくおねがいします。
Google Play で手に入れよう App Store からダウンロード
あわせて読みたい

SHARE

TAG