研究の舞台となったチリのアタカマ砂漠。火星初期の荒野に近い環境と考えられている。
研究の舞台となったチリのアタカマ砂漠。火星初期の荒野に近い環境と考えられている。 / Credit:Alberto Fairén,Cornell University
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“火星生命発見”のために、地球で「火星にそっくりな砂漠」を調査する理由 (2/3)

2021.01.27 Wednesday

2020.11.09 Monday

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乾燥した砂漠から見つかった湿った場所

aは土壌層の構造や組成を示す。bはサンプルのとられた最初の地点。c,dは掘削地点の様子。
aは土壌層の構造や組成を示す。bはサンプルのとられた最初の地点。c,dは掘削地点の様子。 / Credit:Armando Azua-Bustos et al.,Scientific Reports(2020)

今回の研究では、アタカマ砂漠の地表から約30センチメートル下に、湿った粘土が豊富な層があることを発見しました。これは乾燥したこの地域で、初めての発見です。

この層は地表の非常に乾燥した大気からは、完全に隔離されていました。

そしてここからは少なくとも30種におよぶ好塩性(塩のある環境でも生きられる)の代謝活性細や古細菌が見つかったのです。

地下粘土サンプルから発見された細菌凝集体の蛍光顕微鏡画像。
地下粘土サンプルから発見された細菌凝集体の蛍光顕微鏡画像。 / Credit:Armando Azua-Bustos et al.,Scientific Reports(2020)

地球でもっとも乾燥した場所でも、地下には湿った粘土層があり多様な微生物が生息しているというのは、これまで報告のない新しい事実です。

この発見は、火星で同様の浅い粘土堆積物に、生物の痕跡を発見できる可能性を示唆しています。

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