「寝てない自慢」したくなるのは、男らしさに関する固定観念が関係していた

「寝てないアピール」しがち
「寝てないアピール」しがち / Credit:depositphotos
reference: digest

「昨日4時間しか寝てないわ~」という「寝てないアピール」を誰もが耳にします。自分でつい言ってしまうこともあるでしょう。

米国・オレゴン大学マーケティング学部のネイサン・ウォーレン氏は最近、『Journal of the Association for Consumer Research』の中で、「寝てない自慢」したくなるのは男らしさに関する固定観念が影響していると発表。

その論文によると、睡眠不足の男性は「より男らしい」と判断される傾向にあったというのです。

>参照元はこちら(英文)

男らしさとは?

「男らしさ」という感覚を多くの人がもっている
「男らしさ」という感覚を多くの人がもっている / Credit:depositphotos

「男らしさ」という感覚の是非はともかく、それが存在することは確かです。これは環境や時代と共に変化するものでもあり、一種の固定観念として多くの人が抱えています。

そして、ウォーレン氏によるいくつかの研究は、男らしいという感覚が睡眠時間に影響を与えていると主張。

最初の研究では、144人の参加者にベッドを購入する男性を想像してもらいました。

その中で男性は販売員に普段どれだけ寝ているか聞かれます。1つ目のパターンで、男性は「よく眠る」と解答。そして2つ目のパターンでは「ほとんど眠らない」と解答しました。

その後、参加者たちにはその男性をどれほど男らしいか評価してもらいました。結果、「ほとんど眠らない」と答えた男性の方が男らしいと評価されたとのこと。

続いて参加者たちには、「男らしい人」と「そうでない人」の習慣や行動の違いを説明してもらいました。例えば趣味や睡眠時間などです。

その結果、最初の研究と同様に、男性的と考える人の睡眠時間は非男性的な人に比べて33分も短くなっていました。

「睡眠時間が短い=男らしい」という調査結果

忙しく睡眠時間が短い人は「男らしい」と評価される
忙しく睡眠時間が短い人は「男らしい」と評価される / Credit:depositphotos

研究チームは次に、睡眠時間の短い男性がより男らしいとみられる理由を探ることにしました。

この調査では、207人の参加者に「睡眠時間が長い」または「短い」男性について説明してもらい、その男性の性格を7つの主体性の尺度(例えば「個人主義的」または「自己主張が強い」など)で評価してもらいました。

結果はやはり同じで、「睡眠時間が短い=男性的」という傾向が見られました。そしてこの関連性を握っているのが、参加者の主体性への認識だと考えられます。

その後の研究では、社会的判断にも注目しました。参加者には米国社会が様々な人々(「スポーツ選手」や「成人男性」など)に対して、睡眠の量に応じてどのような評価を下すか尋ねました。

そしてこちらも研究チームの予測通りになりました。

睡眠時間が長い男性は、睡眠時間の短い男性よりもネガティブな評価を受けますが、女性には違いがありませんでした。

また、スポーツ選手がたくさん眠っていると肯定的な評価が下されましたが、弁護士は睡眠時間の短い方が好意的に見られました。

そして後の調査では、これらの社会的判断を下す際に主体性と男らしさが重要視されていると判明。

男性は「たくさん寝ている」と言いたくない?固定観念を払い除ける必要性

自分にも睡眠時間と男らしさの固定観念を当てはめている
自分にも睡眠時間と男らしさの固定観念を当てはめている / Credit:depositphotos

最後に研究チームは、自己評価でさえも睡眠と男らしさに関する固定観念の影響を受けていると発見。

「睡眠時間が平均よりも長い」と他人に伝えることを想像した男性は、「平均より短い」と伝える場合よりも男らしさが著しく低下していると感じたのです。

さてチームはこれらの研究の結果、睡眠と男らしさには、やはり「主体性」という要素が深く関わっていると主張。

確かに「主体性のある人」つまり自分の意見や目標を持って積極的に行動する人を「男らしい」とする傾向はあるものです。

そして、このような人は時間を効率的に使おうと努力する人である可能性が高く、「睡眠時間を削って働く」ことに結びついているとのこと。

もちろん、そもそも男らしさや女らしさといった固定観念に興味がない人やそれを否定する人たちは、睡眠時間に影響を与えないでしょう。

しかし一部の男性が、男らしさを気にして睡眠不足という身体的かつ精神的な健康リスクを抱えるおそれはあります。

ですから、「寝てない=主体的でよく働く=男らしい」という固定観念を払い除けることが、男性全体の健康と生産性を向上させるのかもしれません。

寝てないアピールはほどほどに。

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