「抗うつ薬」には新型コロナ重症化を防ぐ効果があると報告される

フルボキサミンは日本ではルボックスやデプロメールとして売られている
フルボキサミンは日本ではルボックスやデプロメールとして売られている / Credit:アッヴィ . Meiji Seika ファルマ
reference: sciencedaily

一部の抗うつ薬は新型コロナウイルスに効果があるようです。

11月12日に医学雑誌『JAMA』に掲載された論文によれば、抗うつ薬として用いられてきたフルボキサミン(ルボックスまたはデプロメール)に新型コロナウイルスの重症化を防ぐ効果がみつかったとのこと。

いったいなぜ抗うつ薬が新型コロナウイルスに効き目を発揮したのでしょうか?

>参照元はこちら(英文)

なぜ「抗うつ薬」を新型コロナウイルス感染者に投与したのか?

僅かな可能性にかけて新型コロナウイルスに効く薬を探す
僅かな可能性にかけて新型コロナウイルスに効く薬を探す / Credit:depositphotos

11月17日現在、新型コロナウイルスの感染者数は全世界で5500万人に達し、130万人以上の死者が発生しています。

これ以上犠牲者を増やさないためには、今すぐ効き目のある薬が必要ですが、薬の開発には通常、年単位での時間がかかります。

そのため医師や研究者たちは僅かな望みをかけて、パンデミック発生直後から、既存の薬を実験的に患者に投与する試みを続けてきました

現在知られている薬の少なくない数が、製品化された後に別の病気に対する効果が認められ「転用」された実績があるからです。

同じような幸運が起これば、既存の薬が新型コロナウイルスに対する特効薬になるかもしれません。

そこで今回、ワシントン大学の精神科と感染症部門の研究者たちは協力して、抗うつ薬として知られるフルボキサミン(ルボックスまたはデプロメール)をウイルス感染患者に投与することにしました。

というのも、昨年行われたマウスを用いた研究によって、フルボキサミンには敗血症として知られる致命的な免疫反応(炎症)を抑える効果が確認できていたからです。

新型コロナウイルスは、免疫系の過剰な働き(サイトカインストーム)が死因になることがあります。もしフルボキサミンが人間でも免疫を抑える効果を発揮すれば、命を救う薬になるのです。

フルボキサミンを飲むと重症化しなくなった

フルボキサミンを飲んだグループでは重症患者がでなかった
フルボキサミンを飲んだグループでは重症患者がでなかった / Credit:depositphotos

フルボキサミンの効果を検証するにあたって、研究者たちは新型コロナウイルスに感染したての新規患者を2グループに分けました。

そして一方にはフルボキサミン(1日100mg)を与え、もう一方には砂糖でできたプラセボ(偽薬)を与え、半月間の経過を比較しました。

期間を半月としたのは、これまでの経験により、新型コロナウイルスは感染から2週目に重症化する傾向があったからです。

結果、プラセボ(偽薬)を飲んでいたグループの8.3%が重症化してしまったものの、フルボキサミンを飲んでいたグループは全員軽症のままでした

フルボキサミンには炎症反応を制御するシグマ1受容体と強固に結合すると考えられており、研究者たちはこの結合が免疫の暴走に対して何らかのストッパーとして働いていると考えています。

既存薬の転用で安全性と低価格を実現

ココロの薬が体も守る
ココロの薬が体も守る / Credit:depositphotos

今回の研究により、比較的身近な抗うつ薬が新型コロナウイルスに一定の効果があることが示されました。

フルボキサミンは日本では1995年から発売されており、25年に及ぶ安全性のデータが蓄積され、後発医薬品(ジェネリック)もあるため、安価での大量生産がが可能です。

現状では飲むことで抗うつ薬としての作用を伴いますが、命との引き換えならば許容できるかもしれません。

研究者たちは今後、より大規模な臨床試験を行い、新型コロナウイルスに対する治療薬としての普及を目指すとのこと。

ココロを治す薬が新型コロナから命まで救ってくれる日は遠くないかもしれません。

※注意
この研究はまだ検証段階で、大規模な臨床試験が行われていない研究です。医師に処方されていない方が抗うつ剤を摂取したり、正しい用量を守らずに使用することはお控えください。
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