患者にしか聞こえない「耳鳴り」を客観的に測定する方法をついに確立! 87%の精度で重症度を判定

耳鳴りを診断する方法が確立
耳鳴りを診断する方法が確立 / Credit: jp.depositphotos

reference: sciencealert

現在、世界人口の約2割が、定期的、慢性的な耳鳴りを経験していると言われます。

今のところ耳鳴りに効果的な治療法はなく、診断も患者の主観的な体験に頼るしかありません。

しかし、オーストラリアの研究チームはこのほど、「耳鳴りを客観的に診断する方法がついに確立された」と発表しました。

これは患者が訴える耳鳴りの重症度を測定する最初のツールであり、新たな治療法の発見に繋がると期待されています。

一体どのような方法なのでしょうか?

研究はバイオニクス研究所、メルボルン大学により、11月18日付けで『PLOS One』に掲載されました。

>参照元はこちら(英文)

患者にしか聞こえない音を測定する「fNIRS装置」

耳鳴りは、近年の脳機能イメージング研究により、特定の領域における接続性の変化、および神経発火の増加と関連していることがわかっています。

研究チームは、こうした耳鳴りによる脳活動の変化を測定する目的で、「​fNIRS(機能的近赤外分光法)」という装置に注目しました。

fNIRSは、自然環境に近い状態で脳の活動を調べられるポータブル装置で、音の知覚にかかわる脳血流活動を測定できます。

​fNIRSによる測定の様子
​fNIRSによる測定の様子 / Credit: en.wikipedia

2014年に、fNIRSを用いた幻聴の測定テストが初めて実施され、右側の聴覚皮質における血流活性の増加が示されました。

その後の試験でも、前頭前皮質やいくつかの視覚処理領域など、近接する非聴覚領域でも血流活性が増加することが特定されています。

そして、研究チームは2018年に、聴覚皮質におけるfNIRS信号が耳鳴り音の存在と強度の両方を反映していることを示し、耳鳴りの測定への有効性を証明しました。

耳鳴りの重症度を87%の精度で識別

チームは今回、慢性的な耳鳴り患者25名を対象にfNIRS信号を記録し、機械学習アルゴリズムを用いて、重症度別の分類を試みました。

健康な対照群21名にも同様の測定をし、耳鳴り患者と比較しています。

比較の結果、耳鳴りを持つ患者のみ、安静時に脳の側頭、前頭、後頭の領域間で強い接続性の変化を示しました。

これは機械学習アルゴリズムが78%の精度で耳鳴りを客観的に測定するのに十分な強度です。さらに、重症度別の分類には87%の精度で成功しています。

上が前頭葉、下が後頭葉、左右が側頭葉
上が前頭葉、下が後頭葉、左右が側頭葉 / Credit: plos

また、脳機能イメージングでは、耳鳴りの持続時間とストレスに起因する「側頭-前頭葉の接続性」と、音の強度に起因する「側頭-後頭葉の接続性」が明らかにされました。

これは耳鳴りの強度とストレスが脳内で別々に測定できることを意味します。

それから、耳鳴りの重症度が高い患者は、かなり高い確率でうつ病や不安症を患っており、知覚される音の強度とストレスも大きいようです。

「fNIRS」で耳鳴りの治療法が見つかる?
「fNIRS」で耳鳴りの治療法が見つかる? / Credit: jp.depositphotos

このように、耳鳴りを客観的に評価するツールを提供することで、臨床医や患者に大きな利益をもたらします。

その一方で、これは耳鳴りを診断する一方法にすぎず、治療法の発見にはさらなる研究が必要です。

しかし、fNIRSを利用して、耳鳴りの根底にあるメカニズムを理解できれば、新たな治療法も確立できるでしょう。

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