恐竜の多くが「首が長くて巨大」な原因は地球温暖化にあった

恐竜の代表といえば首が長く巨大な竜脚類の姿だろう。
恐竜の代表といえば首が長く巨大な竜脚類の姿だろう。 / Credit:depositphotos
reference: zmescience,Phys

恐竜といえば、ブロントサウルスのような首が長くて巨大な竜脚類のシルエットが代表的です。

しかし、この姿の恐竜たちは、恐竜時代の最初の5000万年間は存在していませんでした

なぜ恐竜は首を伸ばし巨大化したのでしょう?

この謎について11月18日に英国の学術専門誌『Proceedings of the Royal Society B』で発表された新しい研究は、ジュラ紀前期末に起きた地球温暖化が恐竜たちの変化の原因だと報告しています。

 

 

巨大な竜脚類登場の謎

竜脚類の一般的なイメージ。
竜脚類の一般的なイメージ。 / Credit:pixabay

竜脚類は恐竜の代表的な姿と認識する人は多いでしょう。

彼らは首が長く、非常に巨大で体長は40mを超え、体重は70トン以上もありました。これは地球の歴史上でも、最大級の陸上生物だったと考えられています。

彼らのおかげで、現代の私たちの中では恐竜といえばとにかくデカイという認識が定着していますが、もともと恐竜はそんな巨大な生き物ではありませんでした。

彼らが登場して最初の5000万年間は、竜脚類に繋がるグループの恐竜でもヤギより小さいサイズのものが多くいました。巨大な種も存在はしていましたが、大きくとも体長は10m、体重は数トンに収まるサイズです。

彼らはみな歯が細長く、柔らかい植物の葉を食べていたと考えられています。

しかし、約18000万年前のジュラ紀前期末になると、これらの恐竜たちは突然姿を消してしまいます。そして残ったのは巨大な竜脚類という1つの系統だけだったのです。

なぜ、そのような変化が起きたのか、その理由は謎に包まれており、研究者たちの間では議論となっていました

進化上の位置がいまいちよく分からない真竜脚類

恐竜たちに起きた変化が謎だった原因は、この時代の恐竜の化石が不足しているため、あいまいな情報しかなかったからです。

ジュラ紀の中頃にはさまざまな竜脚類が登場しますが、その中で分類の難しいのが真竜脚類と呼ばれるグループです。

彼らは原始的な竜脚類よりは、白亜紀に生息していたティタノサウルスなどの新しい竜脚類の近縁に見えますが、もっと基盤的で、竜脚類が分岐していた時代のグループだとされています。

彼らは分類的な位置がよくわからず、そのため研究者たちは巨大で首の長い竜脚類が正確にはいつ頃から登場したのか特定できずにいました。

今回研究チームは、そんな真竜脚類の中でもっとも古いと考えられる化石をアルゼンチンのパタゴニア州にあるカニャドン・アスファルト盆地(cañadón asfalto)から発見しました。

「Bagualia alba(Bagualiaは「頑丈でたくましい」を意味する)」と名付けられたこの新しい恐竜の化石は、首の椎骨、手足、植物の化石の入った頭蓋骨や歯で構成されていて、チームはこの発見から、「Bagualia alba」の時間的・生態学的に正確な位置を特定することに成功したのです。

これは研究者本人がツイートしている、新たに発見された「Bagualia alba」の3Dモデルです。

恐竜繁栄時代に起きたもう1つの大量絶滅

「Bagualia alba」が発見された層は、他の恐竜たちが謎に包まれて消滅した直後の1億7900万年前のものだと判明しました。

つまりここが転換点だった可能性が高いと考えられるのです。

研究者はこの時代の気候変動、植物化石の変化などについて調査を行いました。

約1億8000万年前の時代を調べると、多様で豊かな植物が育つ温帯で多湿な気候が失われ、季節性の強い高温で乾燥した気候へと急速に変化していたことがわかります。

このような気候変動の原因は火山活動の活発化に伴う、温室効果ガスの増加だったと考えられているのです。

ジュラ紀前期末に起きた火山活動の痕跡は、アフリカ南部を始めとする多くの地域で発見されています。

これはトアルシアン期海洋無酸素事変としても知られていて、この時期に大規模な火山活動の活発化と気候変動が起きたことは確かだと考えられます。

その結果、植物の多様性は失われ、それまで支配的だったシダ、ソテツ、イチョウといった植物は失われ、代わりに温暖な気候にも強い針葉樹が地上を支配していきました。

棘のような葉や鱗のような葉を持つ針葉樹は固くて消化が難しいため、小さい動物たちの胃袋では栄養を得ることは難しかったと考えられます。

杉の新芽。棘のような葉や鱗のような針葉樹の葉は、強い消化器官がないと食べることが難しい。
杉の新芽。棘のような葉や鱗のような針葉樹の葉は、強い消化器官がないと食べることが難しい。 / Credit:庭木図鑑植木ペディア

このような植物から効率的に栄養を得られるのは、大きく強力な消化器官を持つ5トン以上の巨大な草食動物たちです。

もっとも初期の真竜脚類「Bagualia alba」はその代表だったに違いありません。

新しい気候に対応した首が長くて巨大な恐竜たち

真竜脚類「Bagualia alba」の歯の化石。真竜脚類に典型的なV字型の摩耗面が見られる。
真竜脚類「Bagualia alba」の歯の化石。真竜脚類に典型的なV字型の摩耗面が見られる。 / Credit:en.wikipedia

竜脚類は、見事にこの気候変動と植物たちの変化に対応した生物でした。

見つかった「Bagualia alba」の歯の化石は、太くスプーンのような形状をしていて、他の絶滅した草食動物の7倍も厚いエナメル質を持っていました。顎も広く強いもので、固い針葉樹の葉を効率的にせん断することができたと考えられます。

長い首は高い針葉樹の葉を食べる際に役立った他、あまり歩き回ることなく所定の位置に留まりながら食事をすることを可能にし、エネルギーの節約に貢献したと考えられます。

また、長い首は温暖化した気候に対して、放熱を行う機能を持っていた可能性も論文では指摘されています。

そして身体の巨大化は、固い針葉樹の葉を消化するための大きく強力な消化器系を支えるために必要になった可能性が高いようです。

おなじみの恐竜のシルエットは、恐竜たちの時代に起きた大量絶滅を生き延びるために必要な形だったのです。

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