授乳していることが明らかになった線虫(c.elegans)
授乳していることが明らかになった線虫(c.elegans) / Credit:Erik Londquist
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小さな「線虫」は子供たちに授乳していると判明 (3/4)

2021.01.27 Wednesday

2020.11.29 Sunday

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線虫は授乳していた

幼虫は親が分泌した卵黄を積極的に食べていた
幼虫は親が分泌した卵黄を積極的に食べていた / Credit:bioRxiv

線虫の授乳を証明するにあたり、ジェムズ氏らはまず最初に、分泌物が本当に幼虫の成長を促進するかを調べました。

結果、分泌物を洗い流された幼虫よりも、洗われなかった幼虫のほうが成長が早いことが判明します。

ただ、この単純な比較では、原因が卵黄タンパク質にあるとは言い切れません。

そこで次に、ジェムズ氏らは線虫の卵黄タンパク質(ビテロゲニン)を蛍光タンパク質(GFP)で標識し、分泌された卵黄タンパクが幼虫たちに本当に食べられているかを調べました。

結果、蛍光を発する卵黄タンパク質が幼虫に取り込まれ、胃の内部で濃縮されて強く蛍光を発している様子が確認されました。

この事実は、幼虫たちは親が分泌されている卵黄を積極的に食べていることを意味します。

哺乳類とは違ってかなり丸投げに近い形ですが、孵化後にも親から子への積極的な栄養素の移転が行われている点は授乳といっていいでしょう。

また今回の研究では、授乳を行っている親の線虫では、多くの動物の老化を促進することが知られている、インスリン様シグナル伝達経路が活性化していることも示されました。

線虫は授乳によって子孫を育てるかたわら、自分を犠牲にしていたのです。

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