重力レンズ
重力レンズ / Credit:Depositphotos
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遠い星を観測するのに役立つ「重力レンズ」って何?

2021.01.27 Wednesday

2020.11.29 Sunday

虫眼鏡などのレンズは、その形により光を屈折させます。

この現象を利用して対象を拡大して見たり、光を集めて火をつけたりできるでしょう。

私たちが利用しているレンズにはさらに規模の大きなものがあります。

それが「重力レンズ」と呼ばれるものです。

虫眼鏡がガラスやプラスチックで光を屈折させるのに対し、重力レンズは重力で光の方向を曲げてしまうのです。

ここでは、遠い星々を観測するのに役立っている重力レンズについて解説します。

scienceabc https://www.scienceabc.com/nature/universe/what-is-gravitational-lensing.html

重力レンズとは

虫眼鏡は光を屈折させて集める
虫眼鏡は光を屈折させて集める / Credit:Depositphotos

1915年、アインシュタイン一般相対性理論と呼ばれる新しい重力理論を発表しました。

この理論によると、天体がもつ重力により宇宙空間を進む線は曲がるとのこと。

しかしこれは「重力に光線を曲げる効果がある」という意味ではありません。

正確には、「重力で周囲の空間が歪み、その空間を直進する光線も結果として曲がる」という意味です。

天体が持つ重力により周囲の空間は歪んでいる
天体が持つ重力により周囲の空間は歪んでいる / Credit:Depositphotos

そしてこの現象は実際に宇宙で起こっており、この効果によって遠くにある星が明るく見える現象を「重力レンズ効果」と言います。

それでは重力レンズの仕組みを考えてみましょう。

宇宙にある星は光源であり、全方向に直線的な光を放っています。そして私たちにはそれらの一部が届き、星の姿を観測できているのです。

星の光は直進して私たちに届く
星の光は直進して私たちに届く / Credit:nazology

しかし、その星が遠く離れていたり光が弱かったりするなら、実際に目で見ることはできません。

ここで役立つのが重力レンズです。星と私たちの間に巨大な天体があるなら、重力によって周囲の空間が歪みます。

結果としてその天体近くを通る光線が曲がり、私たちの目に届くようになるのです。

星の光は天体の重力により曲がり、私たちの目に届く
星の光は天体の重力により曲がり、私たちの目に届く / Credit:scienceabc

巨大な天体の重力がいわば虫眼鏡のような役割を果たし、光を集めてくれるのです。

そのおかげで、私たちは本来見えないレベルの星を観測できるようになっています。

次ページ重力レンズは歪んだ像を見せる

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