重力レンズは歪んだ像を見せる
さて、重力レンズ効果は、星を明るく見せるだけではありません。
重力レンズによって歪められた光線が目に入ってくるので、目はその光線の直線上に星が存在すると認識します。
しかもその光線は様々な角度から目に入ってくるため、星が複数存在しているように見えたり、変形しているように見えたりするのです。
この重力レンズ効果は1919年の日食の間に初めて観測されました。その時の映像によると、星からの光は太陽の重力によって変形していたとのこと。
それ以来、科学者たちは重力レンズを利用してこれまでに観測できなかった遠くにある星を観測しようとしてきました。
しかもその規模は大きく、背後にある銀河や星を観測するために、手前の銀河さえ重力レンズとして利用できるのです。
実際、1985年には銀河LEDA 69457を重力レンズにして、「アインシュタインの十字架」として知られる4つに分裂したクエーサーを観測しました。
また同様に1988年には「アインシュタインの環」とも呼ばれる映像も観測されました。その映像では、奥にある銀河が手前の銀河によって歪んで見えています。