ラングフォニーからサンプルを採取する考古学者たち
ラングフォニーからサンプルを採取する考古学者たち / Credit:Secrets of the Ice
history archeology

閉ざされた氷の中から6000年前の「古代の矢」が68本も発見される(ノルウェー) (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.11.29 Sunday

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氷は融解と再凍結を繰り返したと判明。保存だけでなく歴史の破壊者でもあった

ラングフォニー氷塊の航空写真
ラングフォニー氷塊の航空写真 / Credit:Lars Pilo

ラングフォニーの氷塊から古代遺物がはじめて発見されたのは2006年であり、この時には青銅器時代初期の革靴が見つかりました。

当時の研究者たちは氷塊が地層のようなものだと考えており、古いものが下層に保存され、新しいものは積み重なるように上層で保存されていると思っていました。

つまり、その周辺に着陸したものを年代ごとに完全に保存していく「氷のタイムマシン」のようだと感じていたのです。

4000年前に作られた珪岩の矢尻
4000年前に作られた珪岩の矢尻 / Credit:Secrets of the Ice

しかし今回の件でよく調べてみると、氷塊は数千年の間に何度も溶けて再凍結していたと判明。そのため氷塊や中の遺物は元の場所から移動していました

さらに氷塊は古いものも新しいものもタイムマシンレベルで同じように保存できると考えられていましたが、実際に見つかった新石器時代の矢は風化が激しく、逆に西暦14世紀の矢は非常に良い状態を保っていました。

ラングフォニーと氷塊の地図
ラングフォニーと氷塊の地図 / Credit:Secrets of the Ice

そのため考古学者のラース・ホルガー・ピロ氏は「氷は人工物を保存するが、同時に歴史の破壊者でもある」と語っています。

現在、ラングフォニーにおける融解は続いています。そのため今後も新しい発見が期待できるでしょう。

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