氷は融解と再凍結を繰り返したと判明。保存だけでなく歴史の破壊者でもあった
ラングフォニーの氷塊から古代遺物がはじめて発見されたのは2006年であり、この時には青銅器時代初期の革靴が見つかりました。
当時の研究者たちは氷塊が地層のようなものだと考えており、古いものが下層に保存され、新しいものは積み重なるように上層で保存されていると思っていました。
つまり、その周辺に着陸したものを年代ごとに完全に保存していく「氷のタイムマシン」のようだと感じていたのです。
しかし今回の件でよく調べてみると、氷塊は数千年の間に何度も溶けて再凍結していたと判明。そのため氷塊や中の遺物は元の場所から移動していました。
さらに氷塊は古いものも新しいものもタイムマシンレベルで同じように保存できると考えられていましたが、実際に見つかった新石器時代の矢は風化が激しく、逆に西暦14世紀の矢は非常に良い状態を保っていました。
そのため考古学者のラース・ホルガー・ピロ氏は「氷は人工物を保存するが、同時に歴史の破壊者でもある」と語っています。
現在、ラングフォニーにおける融解は続いています。そのため今後も新しい発見が期待できるでしょう。