犯人は「タイヤ」だった⁈
研究チームは以前、「サケが死滅しやすい小川には、道路の流出水やトレッド(タイヤの地面と接触する部分)の粒子が浸出した汚染水が多分に含まれている」ことを報告しています。
そこで今回、原因物質を特定するため、ギンザケの稚魚をタイヤの粒子に汚染された水にさらす実験を行いました。
すると稚魚の大半は、呼吸不全や見当識障害など、汚染水の被害を受けたギンザケと同じ症状を示したあと、数時間以内に死んでいます。
さらにチームは、ゴム混合物に含まれる数種の化学物質にギンザケをさらしました。
その結果、「6PPD」という物質が、90分以内に上の症状を引き起こす原因であることが特定されたのです。
6PPDはタイヤの防腐剤に使用され、ゴムが劣化する前に、周囲のオゾンと反応してタイヤの寿命を延ばします。
ところが、6PPDは大気中のオゾンと反応することでサケを死に追いやる化学物質をつくっていたのです。
研究チームはそれを「6PPD-キノン」と名付けています。