ギンザケ
ギンザケ / Credit: NOAA/Alamy
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サケの大量死は「クルマのタイヤ」によって引き起こされていた! 原因物質を特定

2021.01.27 Wednesday

2020.12.07 Monday

北太平洋に分布する「ギンザケ」は、毎年秋になると、出生地の小川に帰ってきて子孫を残します。

ところが、ここ数十年、雨水の流出で汚染された都市水路を移動する間に、大量のギンザケが死亡するケースが増え始めていました。

場所によっては、サケの40〜90%が繁殖する前に死んでいます。

しかし今回、アメリカ・ワシントン大学は、ギンザケを死に至らしめている原因物質の特定に成功しました。

その物質は、タイヤのゴムに使われている防腐剤がオゾン(有毒ガス)と反応して生じるとのことです。

研究は、12月3日付けで『Science』に掲載されています。

>参照元はこちら(英文)

popsci https://www.popsci.com/story/environment/coho-salmon-toxic-chemical-car-tires/ , inverse https://www.inverse.com/science/mass-salmon-death-driving-tires

犯人は「タイヤ」だった⁈

研究チームは以前、「サケが死滅しやすい小川には、道路の流出水やトレッド(タイヤの地面と接触する部分)の粒子が浸出した汚染水が多分に含まれている」ことを報告しています。

そこで今回、原因物質を特定するため、ギンザケの稚魚をタイヤの粒子に汚染された水にさらす実験を行いました。

すると稚魚の大半は、呼吸不全や見当識障害など、汚染水の被害を受けたギンザケと同じ症状を示したあと、数時間以内に死んでいます。

小川で死んでいたギンザケ
小川で死んでいたギンザケ / Credit: ELAINE THOMPSON AP

さらにチームは、ゴム混合物に含まれる数種の化学物質にギンザケをさらしました。

その結果、「6PPD」という物質が、90分以内に上の症状を引き起こす原因であることが特定されたのです。

6PPDはタイヤの防腐剤に使用され、ゴムが劣化する前に、周囲のオゾンと反応してタイヤの寿命を延ばします。

ところが、6PPDは大気中のオゾンと反応することでサケを死に追いやる化学物質をつくっていたのです。

研究チームはそれを「6PPD-キノン」と名付けています。

次ページ「6PPD-キノン」はサケ以外にも有害?

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