トゲは人の髪や爪と同じ「ケラチン」と判明!
新種の恐竜は、約1億1000万年前の白亜紀に生息し、サイズは現代のニワトリほどと大きくありません。
研究主任のデビッド・マーティル氏は「最大の特徴は、両肩から2本ずつ非常に長いトゲが生えていることです。これはおそらく、異性へのアピールやオス同士の争い、天敵への威嚇に使われたでしょう」と話します。
化石はオスと断定されていませんが、同様の誇示特性をもつ鳥類(クジャクなど)では、オスとメスの個体差が大きいので、この恐竜もオスである可能性が高いです。
また、比較的若い個体であることが判明しており、「誇示特性は、現生鳥類において成熟したオスに限定されるので、とても不思議だ」とマーティル氏は話します。
それから分析の結果、両肩のトゲは「ケラチン」でできていると特定されました。
ケラチンは、私たちヒトの髪の毛や爪、皮膚をつくるものと同じタンパク質です。
一般に、体外に出ている骨(ツノなど)の成長と維持は多くのエネルギーを必要とし、重さもあって、折れると自分が傷つきかねません。
しかし、ケラチンであれば、形成のためのエネルギーも少なく、軽量で柔軟性があり、折れても爪のようにすぐ伸びます。
ケラチンは、非常に優れた骨の代替え品なのです。
さらに、新種の化石からは保存状態のよい背中の「たてがみ」も発見されました。
研究チームは「新種のたてがみは、犬が恐怖を感じたら毛を逆立てるように、筋肉によって動きを操作できたのではないか」と考えています。
そうすれば、異性へのアピールや天敵への威嚇に、肩のトゲだけでなく、毛を逆立てることでその効果を高められたでしょう。
新種は、トゲと毛を巧みに使って意思表示をする、コミュニケーション能力の高い恐竜だったのかもしれません。
また、マーティル氏は「今回の発見により、現生鳥類に見られる誇示特性が恐竜から受け継がれた可能性が浮上しました。鳥は恐竜の子孫であるため、その可能性はかなり高い」と述べています。