脅威の潜水能力を誇る「海の民」の秘密を解明。鍵は彼らの「遺伝子」にあった

biology 2018/04/22
Credit: Melissa Ilardo
Point
・東南アジアのバジャウ族は素潜りの能力に長けている
・バジャウ族は誰でも大きな脾臓を持っている
・この能力が自然選択によって遺伝的に獲得した能力だと判明

「バジャウ族」の人々は、通常のダイビング器具を使わずに、重りと木製の手作りゴーグルそして、吸い込んだ空気だけで数十メートルの海の底まで潜ることが出来ます。しかし、彼らの才能が練習によって獲得されたのか、それともDNAに書き込まれた適応の結果なのかは、謎に包まれたままでした。

しかし“Cell”誌に掲載された研究研究によると、それは自然選択の結果、遺伝子に刻まれた生物学的な変化によるものだと判明。彼らは大きな脾臓を持っているため、一度に長い時間潜っていられることがわかりました。

Physiological and Genetic Adaptations to Diving in Sea Nomads
http://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(18)30386-6

 

Credit: Melissa Ilardo

チームはまず、43人のバジャウ族と、近隣に住む農業で生活をしているサルアン族33人の脾臓を超音波測定装置で調べました。その結果は驚くべきもので、バジャウ族の脾臓はサルアン族のものよりも50%も大きかったのです。

この違いは、年齢、性別、伸長にかかわりませんでした。違いは遺伝子によるもので、甲状腺ホルモンの量が増えるためであることが明らかになりました。潜水反射というものがあり、顔に水を浸けると脾臓が凝縮して血管中の血液を増やします。

脾臓が大きいということは、送り出される血液量も増えるということです。また、バジャウ族が持っていた他の遺伝子も潜水反射に関わっていおり、末梢の血管を細めることで、脳や心臓、肺への血液を増やします。

さらに、こういった遺伝子による恩恵が、偶然ではなく自然選択による環境への適応度が高まった結果もたらされたものだと判明。この研究は、人の集団内で、遺伝子に自然選択がかかった最新例です。研究者たちは、「この選択がいつごろから始まったのかを知りたい」と述べています。

 

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via: The Guardian/ translated & text by SENPAI

 

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