市販されている鎮痛剤には、心理的な作用が多く確認されている。
市販されている鎮痛剤には、心理的な作用が多く確認されている。 / Credit:canva
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頭痛薬の主成分に「ネガティブな感情をマヒさせる副作用」があると判明! 新型コロナへの影響も懸念 (2/2)

2021.01.27 Wednesday

2020.12.28 Monday

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風船ゲームで確認されたアセトアミノフェンの効果

風船を限界まで膨らませるゲーム。
風船を限界まで膨らませるゲーム。 / ©赤坂アカ/集英社・かぐや様は告らせたい製作委員会

研究では、500人以上の大学生に参加してもらい、「風船膨らませゲーム」をやってもらいました。

このうち無作為に選ばれた半数の参加者には、アセトアミノフェン1,000mg(成人の推奨最大投与量)が投与されています。

このゲームでは、ポンプを1回シュコっとするごとに、賞金約5円(論文では0.05ドル)が加算されていきます。やめたときの合計額が受け取れる賞金です。

ただし、風船を割ってしまったら賞金は0になってしまいます。

現在はコロナ蔓延中のため、この実験はオンライン上のシミュレーションで行われましたが、アセトアミノフェンを投与された人たちは、プラセボ対照群(何も投与されなかった人たち)に比べリスクが高い行動を取りました。

アセトアミノフェンを服用した人は、風船が大きくなっても、破裂に対する不安やネガティブな感情が少なくなっていたのです。

また、このゲームに加えて、参加者には「高い橋からバンジージャンプで飛び降りる」「シートベルトなしで車を運転する」など、さまざまな仮定シナリオで、どの程度リスクを感じるかという評価をしてもらいました。

危ない行為を平気でする人はリスク認知能力が低い。
危ない行為を平気でする人はリスク認知能力が低い。 / Credit:depositphotos

これらの結果を総合的に評価して、研究チームはアセトアミノフェンの服用と、より高いリスク選択との間に有意な関係があると結論づけました。

こうした結果は、心理学調査の別の面で評価を行えば、不安を感じる気持ちを和らげているということもできるだろう、と研究者は語っています。

しかし効果としては僅かなものでも、リスク認知の減少は社会的に重要な影響を与える可能性があります。

アセトアミノフェンは最近の研究で、鎮痛効果は非常に低く副作用の問題の方が大きいということも指摘されていますが、WHOではコロナウィルスの感染が疑われる際に、症状を緩和する第一の薬として推奨しています。

そのため研究者のウェイ氏は今回の結果から、「もしかすると、軽度のCOVID-19患者は、アセトアミノフェンの服用によって、家を出て人に会うのをそれほど危険だとは思わなくなるかもしれない」と不安な思いを抱いているそうです。

でも、その不安もきっとアセトアミノフェンを飲めば緩和されるでしょう。

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