ほぼ完全な保存状態、腸内の分析から当時の環境の再現も可能
サイの遺体は昨年8月、地元住民のアレクセイ・サヴィン氏により発見されたものです。
赤褐色の体毛とツノを持ち、歯や腸、脂肪分、体組織が無傷のまま残されていました。
このおかげで、腸内の排泄物が分析でき、当時の環境を再構築することが可能となります。

研究主任のヴァレリー・プロトニコフ氏は
「このサイは3〜4歳の幼い個体であり、死亡時はすでに母親と離れて暮らしていたと見られます。
また、死亡時期は夏頃で、溺死した可能性が高い」
と指摘します。
性別はまだ特定されておらず、生存年代も2〜5万年前と幅が大きく、放射性炭素年代の詳しい測定結果を待っている状態です。

近年は温暖化によって永久凍土が急速に溶け出し、世界各地で太古の動物たちが地上に露出し始めています。
今回の場所でも2014年に、「サーシャ」と名付けられた世界唯一のケブカサイの赤ちゃんの遺体が発見されていました。
サーシャの死亡年代は約3万4000年前であり、全身はフサフサした豊かな体毛に覆われています。
このことから、古代のサイは幼い時期から寒冷な気候に適応していたことが証明されました。

昨年にも絶滅したホラアナライオンの遺体が同地で見つかっており、今後も発見数はますます増加すると期待されています。
今回発見されたサイの遺体は、スウェーデンの研究所に送られ、詳細なゲノム解析を行う予定です。