陸生物初の「虹色素胞」で光るヤモリ
ウェブフット・ゲッコーは、体長10〜15センチほどの夜行性ヤモリです。
砂漠の乾いた川床や砂丘に住み、日中は水かき(ウェブフット)のついた手足で穴を掘って暮らします。
皮膚は黄色味がかった半透明をしており、体側に白のストライプと目の周りに同色のリングがあります。
これが月の光を吸収するとネオングリーンに輝き、その他の皮膚は薄ボンヤリした青色に発光します。
研究チームは、この発光メカニズムを解明するため、ウェブフット・ゲッコーにUVライトを当てて調査をしました。
発光は、オスメスの成体および幼体のすべてで確認されています。
発光源を調べてみると、皮膚内のグアニン結晶で満たされた色素細胞である「虹色素胞」にありました。
グアニンはDNA成分のひとつであり、その結晶の集団配列は、魚の銀色光沢やカメレオンの色変化に用いられます。
しかし、虹色素胞で発光する生物はサンゴ礁にすむ魚に見られ、陸上の脊椎動物では今回が初めてです。
また、ウェブフット・ゲッコーは、蛍光性のあるものとないものの2種類の虹色素胞をもっていました。
研究主任のマーク・シェルツ氏は「このヤモリの発する光は、他の爬虫類や両生類に見られる光より強く、陸上動物の中でも最も明るい部類に属する」と述べています。
発光の目的は、夜間における仲間とのコミュニケーションにあると見られます。
ネオングリーンの明るい光は体側に位置しており、それよりずっと高い視点をもつ鳥類や地上の動物からは見えません。
しかし、「同じ視点にある仲間からは見えやすく、暗闇での位置情報となっているのではないか」とシェルツ氏は指摘します。
ウェブフット・ゲッコーは、仲間同士で体表にできた水滴を舐め合う習性があり、砂漠下では貴重な水分源となっています。
ネオングリーンの光は、仲間だけに向けた秘密のシグナルなのでしょう。