脳を老化させる免疫細胞を特定
脳を老化させる免疫細胞を特定 / Credit:Depositphotos
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脳の老化は「免疫細胞の暴走」が原因で生じていた! 認知機能の回復に成功

2021.01.27 Wednesday

2021.01.23 Saturday

脳の老化は鋭敏な判断能力を喪失させ、記憶・思考力を低下させるアルツハイマー病の原因だと考えられています。

アメリカ・スタンフォード大学医学部神経学科のカトリン・アンドレアソン博士らの研究チームは、1月21に付けの科学誌『Nature』にて、脳の老化原因の1つがミエロイド細胞(英訳:myeloid cell)にあり、この誤動作を止めることでマウスの認知機能が逆転したと報告しました。

その報告によると、免疫細胞の暴走が脳細胞を炎症させ、機能低下が生じていたとのこと。

>参照元はこちら(英文)

medicalxpress https://medicalxpress.com/news/2021-01-reveals-immune-driver-brain-aging.html

脳の老化の原因は、免疫細胞の暴走による炎症だった

免疫細胞による炎症が脳機能を低下させていた
免疫細胞による炎症が脳機能を低下させていた / Credit:Depositphotos

ミエロイド細胞は、や循環器系、抹消組織に存在する免疫系の細胞であり、身体の兵士または管理者として働いています。

感染性の侵入者を撃退していないときは、死んだ細胞やタンパク質の破片を片付けたり、他の細胞に栄養を供給したりします。

また、侵入してくる病原体がいないか監視する役目も持っているとのこと。

しかし私たちが年齢を重ねるにつれて、ミエロイド細胞は機能不全に陥り始めます。通常の健康保護機能を無視し、存在しない敵と果てしない戦争を開始するのです。

当然、その過程で体内の無実な組織は攻撃を受け、ダメージを負うことになります。

つまり、老化に伴う脳の機能低下は、免疫系暴走の慢性的な炎症の結果だったのです。

ですから理論的には、このミエロイド細胞の影響を無くすことで脳機能の低下も止まると言えます。

研究チームはこの点を確かめるべく、マウスによる実験を行ないました。

次ページ脳の炎症をブロックする実験で、マウス脳の機能低下を逆転させる

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