復元イメージ
復元イメージ / Credit: nature
paleontology

2000万年前の海底層に「古代ワームの巣穴」を発見! 獲物を引きずりこんだ跡も

2021.01.27 Wednesday

2021.01.25 Monday

国立台湾大学により、約2000万年前のユーラシア大陸の海底に、全長2mほどの巨大ワームが生息していたことが示されました。

この報告は、台湾北東部にある中新世(2300万~530万年前)の海底層に見つかったL字型巣穴の標本、319点をもとにしています。

巣穴に潜んでいた海底ワームは、現生するオニイソメ(Eunice aphroditois)の祖先の可能性もあるとのことです。

研究は、1月21日付けで『Scientific Reports』に掲載されました。

The 20-million-year old lair of an ambush-predatory worm preserved in northeast Taiwan https://www.nature.com/articles/s41598-020-79311-0

巣穴にズレを発見!獲物を引きずりこんだ跡か

古代の海底ワームの存在は、実際の化石ではなく、岩石中に残された巣穴をもとに示唆されました。

こうした標本を「生痕化石」といいます。

生痕化石は、動物の足跡や巣穴、植物の葉や根っこによってプリントされた空洞であり、古生物学における重要な資料です。

今回のL字型巣穴には、長さ2m、直径2〜3cmのものが含まれており、かなり大きなワームが住んでいたと見られます。

巣穴の生痕化石
巣穴の生痕化石 / Credit: nature
堆積物のズレが見られる
堆積物のズレが見られる / Credit: nature

分析の結果、巣穴の多くに堆積物の崩れた跡が見つかりました。

これは、海底で待ち伏せしていたワームが獲物を引きずりこんだ時にできたものと推測されます。

さらに、巣穴の上方ほど鉄分の濃度が高くなっていることもわかりました。

これについて、研究主任のLudvig Löwemark氏は「海底ワームが分泌する粘液には、それをエサとして集まる細菌が鉄分を多分に生産することで知られています。

おそらく、古代のワームも粘液を分泌して細菌を集めることで、鉄分の豊富な巣穴を作り、壁を強固なものにしたのでしょう」と説明します。

現生するオニイソメ
現生するオニイソメ / Credit: nature

こうした海底ワームの代表的な存在が「オニイソメ」であり、今も世界中の暖かい海に生息しています。

オニイソメは全長3mほどもあり、巣穴に身を潜め、通りかかった魚を鋭いアゴですばやく捕獲し、砂中に引きずりこみます。

その恐ろしい狩りの様子がこちらです。

オニイソメのような海底ワームは、無脊椎動物で、体の大部分が柔らかい軟組織からなるため、化石としてはほぼ残りません。

最古の証拠は、約4億年前の古生代まで遡りますが、そのほとんどが生痕化石であり、遺伝的なつながりを特定するのは困難です。

それでも今回のような発見が、海底ワームの生態を理解する貴重な機会を与えてくれることに異論はありません。

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