音楽の訓練期間が長いほど、脳の発達レベルが高かった
本研究では、プロのミュージシャンや日頃から音楽を嗜んでいる人、音楽をしていない人、絶対音感をもっている人などを含む、被験者153名を対象に脳の比較をしました。
その結果、演奏する楽器の種類にかかわらず、音楽家の脳は機能的・構造的な面で各領域のつながりがきわめて強いことが示されています。
さらに、音楽家の中でも、楽器を習い始めた時期が早い人ほど、脳の接続レベルがより強固でした。
研究主任のサイモン・ライポルド氏は
「音楽を始めてから時間が経つほど、脳のつながりは徐々に強くなることが示されました。
この結果は、音楽の経験が、人生の初期において脳の形成に与える影響の大きいことを証明する」
と述べています。

研究チームはまた、音楽家の中でも、絶対音感のある人とない人で脳を比較しました。
しかし、絶対音感の有無は、脳の接続レベルに目に見えるほどの違いを示してはいませんでした。
ライポルド氏は「絶対音感をもつ人の脳は、もっと微妙なレベルで違いがあるかもしれず、それについてはより詳細な調査が必要である」と話しています。
その一方で、音楽をしていない人の脳と比べると、その違いは一目瞭然でした。
音楽家では、絶対音感のあるなしに関係なく、各領域の同期レベルや機能的な連結性がはるかに高くなっています。
また音楽家においては、聴覚領域と、高レベルの情報処理に関与するさまざまな脳領域との結合も強固でした。
研究チームは論文内で 「長期的な音楽トレーニングは、大規模な脳ネットワークの形成に強く関係し、知能や心理、感情面での発達を促す」と結論づけています。