体内には1日のリズムを調節する時計がある。
体内には1日のリズムを調節する時計がある。 / Credit:canva
biology

「体内時計」を操作することに世界で初めて成功

2021.01.27 Wednesday
Photopharmacological Manipulation of Mammalian CRY1 for Regulation of the Circadian Clock pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/jacs.0c12280 https://pubs.acs.org/doi/pdf/10.1021/jacs.0c12280

私たちの体は1日周期で、体温やホルモン分泌など体内環境を変化させています。

これは「体内時計」また「概日時計」と呼ばれる機構が作り出していますが、どうやって1日という長い周期を体が正確に調整できるのか、まだよくわかっていません。

1月19日に科学雑誌『Journal of the American Chemical Society』に発表された新しい研究は、そんな1日周期の決定に関わる重要な分子機構を明らかにし、体内時計を局所的に操作することにも成功したと報告しています。

この研究は、睡眠障害など体内時計の機能が乱れることで起きる疾患の治療に役立つ可能性があります。

生物の1日を決めるもの

朝日で1日の始まりを感じるのは体内時計の作用。
朝日で1日の始まりを感じるのは体内時計の作用。 / Credit:canva

朝起きて、夜眠るというように生物の生活は1日を基本に動いています。

体内もこのリズムに合わせて1日周期で体温をはじめ、体の機能を調節しています。

この1日のリズムは、や温度変化のない環境でも機能していることがわかっており、生物の体内には何らかの時計に類似する機能があるようです。

このことから、1日のリズムを刻むメカニズムは「体内時計」と呼ばれています。

哺乳類の場合、視床下部の辺りに体内時計細胞があり、目から入った光が伝達されることで時間を調節します。

ヒトの体内時計の周期は、24時間より若干長いと言われています。そして人間の体内時計は、朝の強い光を浴びると早められ、夜の弱い光が遅らせる方向に働きます。

この作用によって、人間は季節による日の変化や、地域による時差に体内時計を対応させているのです。

体内時計は時計タンパク質の作用が関連している。
体内時計は時計タンパク質の作用が関連している。 / Credit:canva

では、この体内時計はどのように24時間周期を生み出しているのでしょうか?

最近の分子生物学の研究によると、体内時計細胞の中には時計遺伝子というものがあり、これが合成する時計タンパク質が関係していると言われています。

時計タンパク質は、何らかの化合物や光の作用によって、結合や分解を行っており、これが時間のリズム信号を生んでいるのです。

しかし、1日というのはかなり長い周期であり、これを安定して刻む具体的な仕組みは謎に包まれていました。

今回の研究チームは、ヒトの培養細胞を用いた大規模な解析により、この1日周期を生み出す謎の多い化学的メカニズムを明らかにしたのです。

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