17年周期で現れる「Brood X」が大量発生
セミは一生のほとんどを土の中で過ごしますが、その中で最も寿命の長いのが「周期ゼミ」です。
13年と17年周期で地上に現れる2種がいるため、「素数ゼミ」とも言われます。
素数ゼミが分布するのは北アメリカのみであり、合計で15タイプ(Brood)が知られています。
すべてのタイプが一度に発生するのではなく、各地域ごとに発生年はズレているので、アメリカ中がセミで埋め尽くされることはありません。
下の図は、各タイプの分布場所と、発生した(する)年を示したものです。
この中で、今年5〜6月にかけて発生するタイプは、「Brood X(黄色)」の17年周期ゼミで、前回は2004年の春〜初夏にかけて出現しました。
専門家の予想では、コネチカット、オハイオ、ケンタッキー、インディアナなどを主とした15州で出現すると見られています。
4000平方メートルあたり約150万匹が現れ、それぞれが交尾のためにがなり立てます。
1匹で100デシベル相当の音を出すため、各地域の騒音は、上空を通過するジェット機の音をかき消すほどになるとのこと。
セミは安全で無害な生き物ですが、これだけ大量発生すると騒音や、地上に散乱する大量の死骸に悩まされるでしょう。
また、素数ゼミは、ほとんど空を飛ばないことで知られます。
1匹つかまえて空中に放しても翼を開くことなく、そのまま地上に落下するのです。
これは同じ場所に大量の交配相手がいるため、飛ばなくてもすぐにパートナーが見つかるためとされます。
一方で、素数ゼミがなぜ13年と17年おきに出現するかは、まだ完全には解決していません。
有力な説としては「天敵と周期をズラすため」とか、「13年と17年にすると、周期年数の違うセミと出くわす回数が少なくなり、コロニーの繁栄を維持できるから」というものがあります。