3Dプリントされた人間の内耳構造
3Dプリントされた人間の内耳構造 / Credit: Iman Roohani
chemistry

身体の中に「骨を直接3Dプリントする」治療法を開発中

2021.01.29 Friday

3D Printing Bone Directly Into the Body https://spectrum.ieee.org/the-human-os/biomedical/devices/3d-printing-bone-directly-into-the-body 3D-printed ‘bones’ made of living cells are formed at room temperature for the first time using a special gel that allows doctors to build structures minutes before surgery https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-9186053/3D-printed-bones-room-temperature-time-using-special-gel-live-cells.html?ns_mchannel=rss&ns_campaign=1490&ito=1490
Synthetic Bone‐Like Structures Through Omnidirectional Ceramic Bioprinting in Cell Suspensions https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/adfm.202008216

角膜や血管、皮膚などはすべて生きた組織です。しかし、骨は生きた化合物と無機化合物の混合物であり、これを3Dプリントで再現するのは「挑戦の中の挑戦」と言われています。

ところが最近、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学に所属するバイオエンジニアのアイマン・ルーハニ氏ら研究チームは、室温で本物の骨に近い構造物を3Dプリントすることに成功しました。

これにより、患者の身体の中に骨を直接3Dプリントするという道が開けたのです。

詳細は1月20日付けの科学誌『Advanced Functional Materials』に掲載されています。

天然の骨構成を模倣した「人工骨」を3Dプリントする

生きた細胞を利用して人口骨を3Dプリントする
生きた細胞を利用して人口骨を3Dプリントする / Credit: Iman Roohani /unsw

「骨を模した構造物を3Dプリントする」こと自体は新しい発想ではありません。

実際これまでにも、ヒドロゲル、熱可逆性プラスチック、バイオセラミックスなどの材料で人工骨を試作してきました。

これらの3Dプリント技術は、まず研究室の高温炉で有毒な化学物質を利用し構造体を作成しなければいけません。

しかし今回報告されている新しい技術では、生きた細胞を利用し、温室での骨形成プロセスを成功させています。

これはつまり、有害なものを使用せず、患者自身の生きた細胞を使って医療室内のその場で骨を作ることができるということです。

ルーハニ氏も、「以前の材料とは対照的に、私たちの技術は、骨の構成を化学的に模倣した構造物をその場でプリントできる」と述べています。

研究チームによると、この新しい技術は最終的に、「患者の身体に直接骨を3Dプリントする」という新しい治療法の確立に繋がるかもしれないとのこと。

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