氷河期に北極海は900メートル以上の厚さの氷床に囲まれていた。
氷河期に北極海は900メートル以上の厚さの氷床に囲まれていた。 / Credit:Alfred Wegener Institute
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氷河期の北極海は「巨大な淡水湖」になっていた時期が2回あった (3/3)

2021.02.04 Thursday

前ページこれまで謎に包まれていた氷河期の北極海

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北極海が淡水となる影響

このシナリオでは、氷期に世界の海面が現在より最大130mも低くなり、北極の氷塊が海洋の循環を著しく制限していた可能性を示唆しています。

氷期を終え、この氷の障壁による北極海の淡水化が機能しなくなると、重い塩水が北極海へ流れ込んでいきます。

逆に、北極海が溜め込んだ大量の軽く冷たい淡水は、一気に外洋へ放出されることになるのです。

氷期には北極海に淡水が流れ込み、一部が外洋へ抜け出す力によって北極海はどんどん淡水化が進んでいく。
氷期には北極海に淡水が流れ込み、一部が外洋へ抜け出す力によって北極海はどんどん淡水化が進んでいく。 / Credit:Alfred Wegener Institute /MartinKünsting

この海洋の変化によって、グリーンランドの気温は数年で8~10℃も上昇した可能性があり、また世界の海面を想定していたよりも高く押し上げた可能性があります。

サンゴ礁の古い化石を調べると、特定の時期でその位置が南極の氷床コアから推定される海面より高い位置にあることが示されています。

これが淡水が氷期に固体として陸上に貯蔵されていたのではなく、液体の形で北極海に貯蔵されていたと考えると、この海面の不一致の問題が説明できるといいます。

まだ、北極海の淡水化は発見されたばかりで、その影響は明確にわかっていません。

しかし、これまで見つかっている説明のつかない過去の気候変動が、ここから説明可能になる可能性があると、研究チームは語っています。

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