ナマコのウンチ
ナマコのウンチ / Credit: Southern Islander Dive Tours
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ナマコは「年間7万トンのうんち」をすることが判明! エッフェル塔5つ分に匹敵(オーストラリア)

2021.02.08 Monday

ナマコの意外な才能が発覚しました。

オーストラリア・ニューカッスル大学の最新研究によると、一つのサンゴ礁に生息するナマコだけで、年間約7万トンの排便をするとのこと。

これはエッフェル塔5つ分の重量に相当します。

地球規模で考えると、ナマコだけでとんでもない量のウンチが排出されているようです。

研究は、2月2日付けで『Coral Reefs』に掲載されました。

Sea cucumbers pinch out ‘5 Eiffel Towers worth’ of poop per reef, per year https://www.livescience.com/sea-cucumber-poop-reef.html Drones reveal importance of sea cucumber poop in protecting coral reefs https://www.newcastle.edu.au/newsroom/featured/drones-reveal-importance-of-sea-cucumber-poop-in-protecting-coral-reefs
Putting sea cucumbers on the map: projected holothurian bioturbation rates on a coral reef scale https://link.springer.com/article/10.1007/s00338-021-02057-2

ナマコのウンチはサンゴ礁の大切な肥料に

本研究では、グレートバリアリーフ南端に位置する、ヘロン島のサンゴ礁(約19平方キロ)を対象に調査されました。

ヘロン島の中心部には、外海から隔てられた浅い水深のラグーンがあります。

研究チームは、ドローンを用いてサンゴ礁の干潟の全エリアを空撮し、映り込んだナマコの数を計上しました。

映像分析では、300万匹以上が確認されています。

空撮されたナマコたち
空撮されたナマコたち / Credit: Vincent Raoult

その後チームは、最も一般的な種のクロナマコ(Holothuria atra)で給餌実験を実施。

その結果、一匹のクロナマコは、1日約38グラム、年間で約14キロ排便をすることがわかりました。

これをヘロン島に分布するナマコに当てはめると、年間7万トンの排便量に達し、エッフェル塔5基分をわずかに上回る重量となります。

1エリアで年間7万トンの排便量
1エリアで年間7万トンの排便量 / Credit: link.springer

研究主任のヴィンセント・ラウルト氏は「ヘロン島の中心部にあるラグーンは対象外だったので、そこに生息するナマコも含むと、年間の排便量はさらに増える」と指摘します。

また、ナマコのウンチは、周囲の生態系、とくにサンゴ礁の健康にとって重要な肥料です。

ナマコは海底に落ちている藻類や小さな海洋生物を食し、消化の過程でこれらが分解され、一緒に飲み込んだ砂とともにウンチとして排泄します。

このウンチには、サンゴの形成に欠かせない炭酸カルシウムや、成長を促進させるアンモニアが豊富に含まれています。

さらに、ナマコのウンチは海水の酸性度を低める効果があり、サンゴが炭酸カルシウムを形成するのに有用です。

ナマコのウンチは海の肥料
ナマコのウンチは海の肥料 / Credit: Southern Islander Dive Tours

それから、ナマコはエサを探すために海底の堆積物をひっくり返し、そこに埋まっていた沈殿物(栄養素)を海中に解き放ちます。

もしナマコがいなければ、これらの栄養素は海底に埋もれたまま、生態系の役に立つことはありません。

しかし現在、ナマコの個体数は、海水汚染や乱獲により減少の一途をたどっています。

すでに7種が絶滅危機に瀕しており、ナマコがいなくなるとサンゴ礁もその煽りを受けるでしょう。

サンゴ礁は、海水のCO2濃度調節を請け負う上に、多くの生き物のすみかや産卵場所として「海のオアシス」とも称されます。

サンゴ礁を守るためにも、ナマコのウンチは必要不可欠なのです。

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