眼球に毛の生えたオジロジカ
眼球に毛の生えたオジロジカ / Credit: deerassociation
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「眼球から毛が生えているシカ」を発見 視力は昼夜の区別ができる程度

2021.02.22 Monday
Deer Developed Hairy Eyeballs Due to Rare, Bizarre Condition https://www.sciencealert.com/deer-developed-hairy-eyeballs-due-to-rare-bizarre-condition Freak Buck Had Corneal Dermoids. Yes, Hairy Eyeballs https://www.deerassociation.com/freak-buck-had-corneal-dermoids-yes-hairy-eyeballs/

アメリカ南部・テネシー州の町ノックスビルで発見された1頭のオジロジカ

頼りなげに歩くそのシカに近づいてみたところ、なんと両目の眼球から太い毛が生え出していたのです。

毛は角膜を直接覆うように生えており、シカの視野全体を遮っていました。

一体、なんの病気なのでしょうか。

視野は「ハンカチで目を覆われている」ようなもの

テネシー野生生物資源局 (TWRA)によると、シカに見られたのは「類皮のう胞(Dermoid)」と呼ばれる症状です。

類皮のう胞とは、本来、体の他の部位に発生するはずの組織からできた良性腫瘍で、人にも見られます。

先天性の症状であり、原因は、母親の胎内での発生異常です。

このシカの場合は、毛包(毛根を包む袋状の上皮組織)の一部が、発生段階であやまって角膜部分に露出したものと思われます。

当局のスターリング・ダニエルズ氏は「これはハンカチで目を覆っているような状態であり、かろうじて昼と夜の区別だけはできているかもしれません。

しかし、自分がどの方向に進んでいるかは、正確に分かっていないでしょう」と指摘します。

健康状態を調べてみると、シカは「EHD(家畜流行性出血性疾患)」に陽性反応を示しました。

この病気はEHDウイルスに感染することで発症し、重度の発熱や組織腫瘍、人を含む動物への恐怖心の喪失などを引き起こします。

発見当時のシカが人の接近をまったく意に介さなかったこと、体外に出血が見られたことは、EHDが原因でした。

過去に報告された「類皮のう胞」をもつシカ、かすかに毛に覆われている
過去に報告された「類皮のう胞」をもつシカ、かすかに毛に覆われている / Credit: deerassociation

また、シカにツノが生えていたことから、少なくとも生後1年以上が経過していることが分かっています。

ノックスビルは、シカの天敵であるコヨーテや、人の狩猟が少ない一方で、車の交通量が多いため、これほど長く生き延びているのは驚異的です。

おそらく、誕生直後の数ヶ月間は親か仲間の世話で成長できたようですが、発見時には周囲にそのような仲間は見当たっていません。

ジョージア大学の獣医科、ニコル・ネメス博士は「類皮のう胞は、成長とともに少しずつ肥大化するので、徐々に狭くなっていく視野に適応できたのかもしれない」と話します。

実際、毛の下には正常な視覚器官がすべて確認できており、元々の視力には問題がありませんでした。

類皮のう胞を患ったシカはほぼ前例がないため、TWRAは保護の上、調査を続けていく予定です。

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