霜の結晶が水に向かってジャンプする
霜の結晶が水に向かってジャンプする / Credit:Jonathan B. Boreyko
chemistry

「静電除氷」で車のフロントガラスの霜取りを簡単にする研究 霜の下部は正、上部は負に帯電する (2/2)

2021.02.26 Friday

前ページ霜の下部は「正」に帯電し、上部は「負」に帯電する

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霜の結晶をジャンプさせる

霜の5mm上にろ紙を吊るし、水を滴下。結晶の動きをスピードカメラで撮影
霜の5mm上にろ紙を吊るし、水を滴下。結晶の動きをスピードカメラで撮影 / Credit:Jonathan B. Boreyko

研究チームはまず、ガラス板や金属板の上に人工的な霜を作り出しました。この人工霜はの粒子サイズが非常に小さく、それぞれ数mm以下です。

次に、霜の5mm上にろ紙を吊るし、そこに注射器を使って水を滴下。

すると、霜の表面にある氷結晶がすぐにねじれて壊れ始め、水に浸したろ紙に向かってジャンプしました。

これは、霜表面の負に帯電したイオンが水中の正イオンに引き付けられたことが原因であり、これにより静電除氷(英訳:electrostatic de-icing)が生じたと考えられます。

また、このジャンプ現象は金属板とガラス板の両方で見られるため、板の熱的および電気的特性は関係ないと分かります。

ただし今回の研究では、小さな個々の結晶をジャンプさせただけであり、霜全体を取り除くことはできていません。

今後、研究チームは霜に近づける電荷の量を増やすことで、大きな氷床を引きはがそうとしています。

水の代わりに帯電した電極を利用するなら、さらに大規模な結晶ジャンプを誘発できるかもしれません。

ボレイコ氏は、「静電除氷効果を増幅して、氷や霜の層全体を瞬時にはがすことができれば、航空機や空調システム業界に大きな変革をもたらす可能性がある」と述べています。

将来的には車のフロントガラスの霜も簡単に取り除くデバイスが作られるかもしれませんね。

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