精子を変形させて遊泳能力を奪う避妊薬が開発される
精子を変形させて遊泳能力を奪う避妊薬が開発される / Credit:Canva
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精子を「変形」させて泳げなくする植物由来の男性用避妊薬が開発される

2021.03.04 Thursday
Potential Male Contraceptive Is Effective And Safe In Animal Models https://www.iflscience.com/health-and-medicine/potential-male-contraceptive-is-effective-and-safe-in-animal-models/amp.html
Triptonide is a reversible non-hormonal male contraceptive agent in mice and non-human primates https://www.nature.com/articles/s41467-021-21517-5

手軽に使える男性用避妊薬ができるようです。

2月23日に『Nature Communications』に掲載された論文によれば、植物由来の成分に、精子を変形させて泳ぐ能力を奪う効果が確認できたとのこと。

泳ぐ能力を失った精子は卵子までたどり着くことができず、避妊が成立します。

さらにこの植物由来の成分は「飲むのをやめると元に戻る(精子の形が)」という避妊薬として重要な性質も備えています。

「精子を変形させる」というと恐ろしい印象を受けますが、精子の生産能力そのものに影響を与えず、泳ぐ能力だけを狙い撃ちにする戦術は、極めて合理的といえるかもしれません。

薬として使えるようになれば、男性はリスクの高いホルモン避妊療法に頼らずに、錠剤だけで避妊をおこなえるようになります。

精子を「変形」させて泳げなくする植物

世界のどこを探しても医学的根拠のある男性用ピルは売られていない
世界のどこを探しても医学的根拠のある男性用ピルは売られていない / Credit:Canva

なぜ男性用の経口避妊薬が薬局に売られていないのでしょうか?

その主な理由は、男性の生殖活動が常にONであるからだといわれています。

女性の生理サイクルとは異なり、男性の精子は毎日生産されているため、男性用避妊薬は精子の生産を止める必要があります。

しかし現実的な問題として、精子の生産を完全に遮断するには精子の元となる生殖細胞を破壊しかありません。

次善の策として、精子の生産に必須な男性ホルモン(テストステロン)を減少させる「ホルモン避妊療法」がおこなわれてきましたが、副作用が大きく女性用避妊薬のように摂取することはできませんでした。

男性にとってテストステロンは命の維持にかかわる重要なホルモンであるため、簡単に人間が操作することはできなかったのです。

しかし古くから漢方医学に用いられて来た「ライコウトウ(タイワンクロヅル)」が状況を大きく変えてくれるかもしれません。

キッカケは医療現場からの声でした。

ライコウトウを含む漢方薬を飲み続けた男性患者に、子どもができないという奇妙な現象が起きていたからです。

ライコウトウ(タイワンクロヅル)を摂取している男性患者は一時的な不妊に陥っていた
ライコウトウ(タイワンクロヅル)を摂取している男性患者は一時的な不妊に陥っていた / Credit:wikipedia

ライコウトウは上の図のような花を咲かせることが知られているツル植物で、根を加工した生薬は古くから関節リウマチの治療薬として使われてきました。

報告を受けた研究者たちが男性患者たちの精子を調べると、奇妙なことに、男性患者たちの精子が大きく変形し、運動能力がなくなっていることが判明しました。

しかしこの時点では、ライコウトウの避妊効果については不明な点が多く、安全性などの検討は行われていませんでした。

そこで今回、研究者たちはライコウトウの男性に対する避妊効果について詳細な調査をおこなうことにしました。

現代医学が行き詰まりをみせていた男性用避妊薬の開発に、漢方の生薬は突破口を開けたのでしょうか?

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